高橋誠一郎 公式ホームページ

2015年

【あかりちゃん】のリンク先を掲示

いよいよ審議は参議院に移りました。

YouTubeの【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみたは、「文明史」的な理解を欠いた形でこの法案を解説した自民党・広報の「教えて!ヒゲの隊長」の説明を分かりやすく論破しています。

これまでも二回ほど【あかりちゃん】については紹介しましたが、先ほど確認したところ視聴回数が635、000回を超えていました。より多くの方に知って頂くためにこのブログでも独立させて、題名を示すことにしました。

自民党版の「教えて!ヒゲの隊長」と比較すると「安全保障関連法案」と名付けられたこの法案の危険性が明瞭になるでしょう。

〈「様々な意匠」と隠された「意匠」〉を「主な研究」に掲載

先日のブログ記事では文芸評論家・小林秀雄の思想が、安倍氏のような政治家にも大きな影響を与えている可能性を指摘しました。

リンク→「戦前の無責任体系」の復活と小林秀雄氏の『罪と罰』の解釈

〈「様々な意匠」と隠された「意匠」〉と題したエッセイが『全作家』第98号に載りましたので、「主な研究(活動)」のページに掲載します。

リンク→「様々な意匠」と隠された「意匠」

安倍首相の吉田松陰観と井伊直弼の手法

「週刊誌を読む」という「東京新聞」の本日付の連載コラムには、「女性誌も巻頭で政権批判」という見出しで、「安保法案」への批判が日ごとに強まっている状況が詳しく分析されています。

現在、公共放送のNHKでは吉田松陰の妹を主人公とした大河ドラマ《花燃ゆ》が放映されていることもあり、私が強い関心を持って読んだのは、安倍首相が「吉田松陰が好んだ孟子の一節「自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば千万人といえども吾(われ)往かん」を頻繁に口にしていることを指摘したフライデー』(8月7日号)の記事でした。

このことを指摘した月刊『創』編集長でもある筆者の篠田博之氏は次のようにこのコラムを締めくくっています。「主権者たる国民の意思を無視することを政治家の信念と勘違いしているとすれば、こればもう倒錯というべきだろう。」

*   *

弁護士の澤藤統一郎氏も「孟子にあっては、天子の天子たる所以は、民意に基づくところにある。天命とは、実は人民の意志にほかならない。政権は民意に背いてはならない」と説いていたとして、安倍氏の解釈の間違いを指摘しています(サイト「澤藤統一郎の憲法日記」7月22日)。

実際、独裁的な権力を行使した幕末の政治家・井伊直弼により安政の大獄で処刑されることになる思想家・吉田松陰の言葉を権力者である首相が信念としているならば、安倍首相は吉田松陰とではなく、国民の意思に逆らってアメリカと日米修好通商条約に調印した大老・井伊直弼と同じような感覚の独裁者に近いと言わねばならないでしょう。

リンク→TPPと幕末・明治初期の不平等条約

リンク→菅原文太氏の遺志を未来へ

*   *

以下に、これまでに書いた大河ドラマ《花燃ゆ》関連の記事のリンク先も記します。

リンク→大河ドラマ《龍馬伝》と「武器輸出三原則」の見直し

リンク→大河ドラマ《龍馬伝》の再放送とナショナリズムの危険性 

リンク→総選挙を終えて――若者よ、『竜馬がゆく』を読もう

 

「戦前の無責任体質」の復活と小林秀雄氏の『罪と罰』の解釈

本日付けの『日刊ゲンダイ』は、「新国立競技場」建設計画の「白紙撤回」について、森元首相が22日の記者会見で「(責任の所在が)どこにあるのかというのは難しく、犯人を出してもプラスはない」と語ったと伝えるとともに、元法大教授五十嵐仁氏(政治学)の次のような批判を紹介しています。

「政治思想史の丸山真男氏は、日本が無謀な戦争に突き進んだ理由として『無責任の体系』を挙げました。…中略…戦後70年の今も、同じく、無責任の体系が脈々と息づいているとしか思えません」。

実際、新しい国立競技場を当初よりおよそ900億円多い2520億円をかけて建設しようとする計画は、多くの国民の反対の声により「白紙撤回」になりましたが、安倍首相や森元首相は人ごとのようにこの問題の責任を取ろうとしていません。

関連装備も含めると総計で約3600億円にものぼるとされ、また国内での事故の危険性も指摘されているオスプレイの購入を決めたことの責任も問われねばならないでしょう。

その思想が危険視されることの多い安倍首相が、アメリカの議会から温かく受け入れられた一因は、日本の国民の大切な資金を差し出していたからだとも思えます。

リンク→安倍政権の経済感覚――三代目の「ボンボン」に金庫を任せて大丈夫か

  *   *

 今日は少し早めに帰宅して原稿に取り組もうと思っていたのですが、新聞一面の「無責任国家」という大きな文字を車内で見ているうちに、このような「国家」を復活させた一因は、どこにあったのかということがきちんと問わねばこの問題は、ずっと続いていくだろうという不安にとらわれました。

このような「戦前の無責任体系」の復活は、日本の代表的な知識人であった文芸評論家・小林秀雄の『罪と罰』観とも無縁ではないと思われます。

「罪の意識も罰の意識も遂に彼(引用者注──ラスコーリニコフ)には現れぬ」と解釈した小林秀雄は、「コメディ・リテレール」では「僕は政治的には無智な一国民として事変に処した」と語って、言論人としての責任を認めようとしなかったのです。

「アベ政治を許さない」という国民の切実な思いが記されたチラシを目にする機会が増えましたが、このような「無責任」な「アベ政治」を生み出した思想もきちんと解明する必要があるでしょう。

リンク→「小林秀雄の良心観と『ヒロシマわが罪と罰』」関連の記事一覧

「安全保障関連法案」の廃案を求める「世界文学会」の声明を転載

「世界文学会」のHPに「安全保障関連法案の廃案を求める声明」が掲載されましたので転載します。

*   *   *

「安全保障関連法案」に反対し、その廃案を求める声明

安倍自民・公明両党政権は、「戦争法案」以外の何ものでもない「安全保障関連法案」を、どの世論調査でも国民の圧倒的多数の反対があり、審議不十分で採決すべきでないとの強い世論があるにもかかわらず、七月十五日には衆議院特別委員会で、翌十六日には衆議院本会議で野党の反対を押し切って矢継ぎ早に強行採決しました。

私達「世界文学会」は、このようなファッショ的暴挙に強く反対し、第二次世界大戦以降、最初の日本人の死者を出し、戦闘相手も殺す可能性のあるこの法案の廃案を強く求めます。理由は以下のとおりです。

第1、 武力行使をしている米軍等へのいわゆる「後方支援」(兵站)をこれまでの「非戦闘地域」から「戦闘地域」に拡大し、日本が武力行使に参加する可能性が増大し、第二次世界大戦後一貫して日本が守ってきた憲法九条に違反しています。

第2、 PKO(国連平和協力法)を改定し、形式上は「停戦合意」が出来ていても、なお、戦乱、混乱が続いているような地域に自衛隊を派兵し、治安維持活動をさせることによって、戦争に巻き込まれる可能性があり、これも憲法九条に違反しています。

第3、 日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動し、海外での武力行使に乗り出す可能性があり、これも憲法違反です。とりわけ大多数の憲法学者、多くの国民が憲法九条違反としているこの法案を公明党が支持している理由が疑われます。公明党が平和を党是としているのならば、この法案への賛成の意を撤回するよう求めます。

立憲主義国家としての体をなさないこのような国家体制のもとでは、戦前の歴史的教訓からして学問研究の自由も著しく侵害されることを危惧します。私達は世界各国文学の自由な研究を通して相互理解を深めて世界平和に寄与することをめざしている研究者団体として、上記の法案は到底容認できるものではありません。強くその廃案を求めるものであります。

2015年7月18日 世界文学会第61回総会

『新聞への思い――正岡子規と「坂の上の雲」』(人文書館)の目次を「著書・共著」に掲載

標記の拙著に関して昨年の10月に目次案を掲載しましたが、その後「秘密法・集団的自衛権」は「争点にならず」とした衆議院選挙が昨年末に行われ、その「公約」を裏切るような形で「安全保障関連法案」が提出されました。

「蟷螂の斧」とは知りつつもこの事態を「黙過」することはできずに、この法案の危険性を明らかにする記事を書き続けていました。そのため、6月27日に書いたブログ記事「新聞『日本』の報道姿勢と安倍政権の言論感覚脱稿に向けて全力を集中する」と宣言したにもかかわらず、拙著の進展が大幅に遅れてしまい、読者の方々や人文書館の方々にはご心配をおかけしました。

ただ、「国会」や「憲法」を軽視して「報道」にも圧力をかけるような安倍政権の「独裁政治」を目の当たりにしたことで、今回の事態が「新聞紙条例」や「讒謗律」を発行し自分たちの意向に沿わない新聞には厳しい「発行停止処分」を下していた薩長藩閥政権ときわめて似ていることを痛感したことで、東京帝国大学を中退して新聞「日本」の記者となった正岡子規の生きた時代を実感することができました。

それゆえ、新著では明治維新以降の歴史を振り返ることにより、「戦争」や「憲法」と「報道」の問題との関わりをより掘り下げて、「安倍政治」の危険性を明らかにするだけでなく、「新聞記者」としての子規の生き方や漱石との友情にも注意を払うことで、若い人たちにも生きることの意義を感じてもらえるような著作にしたいと願っています。

目次に関しては微調整がまだ必要かも知れませんが、題名だけでなく構成もだいぶ改訂しましたので、新しい題名と目次案を「著書・共著」に掲載します。

リンク『新聞への思い――正岡子規と「坂の上の雲」』(人文書館、2015年

『安全保障関連法案に反対する学者の会』が廃案を求めて150名で記者会見

幅広い専門分野の研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」が20日に東京都千代田区の学士会館で記者会見し、安倍政権により「違憲性がある法案が衆院で強行採決されたことは、立憲主義と民主主義の破壊であり、国民世論を無視した独裁政治であることを示した。学問と理性、知的な思考そのものを無視している」と指摘し、廃案を求める抗議声明を発表しました。

この会見については、各新聞が大きく取り上げた他、NHKも報道していますので、その一部のリンク先を記しておきます。

 

関連記事のリンク先

朝日新聞→ 安保法案に抗議声明 益川氏ら学者150人が会見

毎日新聞→<安保法案>採決強行に学者150人抗議

東京新聞→益川氏ら学者150人 安保法案「廃案」を:社会 (TOKYO …

産経新聞→益川名誉教授ら「首相判断で戦争可能」 学者150人、安保法案廃案求め声明

NHK→安保法案に反対 学者など150人が訴え http://nhk.jp/N4KK4GJE

*  *   *

 『安全保障関連法案に反対する学者の会』のアピールへの賛同者(学者・研究者)は、7月21日9時00分現在で11,604人に、市民の賛同者が24.053人に達しました。

リンク→http://anti-security-related-bill.jp

一方、この問題の深刻さをいまだに理解しない安倍晋三首相は、20日のフジテレビ番組では衆院で「強行採決」した安全保障関連法案について「戦争法案と言われるが、戦争を未然に防ぐための法案だ」との弁解をしたとのことです。

このような発言や今後の動きも気になりますが、安倍首相の「憲法」理解や歴史認識の問題点を明らかにするためにも、これからしばらくは拙著『新聞への思い――正岡子規と「坂の上の雲」』(人文書館)の発行に向けて集中することにします。

 

「安全保障関連法案に反対する学者の会」関連記事

『安全保障関連法案に反対する学者の会』の賛同者(学者・研究者)が10,857人に7月17日

「安全保障関連法案に反対する学者の会」のアピールを「新着情報」に掲載7月3日

映画人も「安全保障関連法案」反対のアピール

すでにご存じの方も多いと思いますが、「朝日新聞」によれば15日に強行採決への抗議声明を出していた団体に続いて、映画関係者らで作る「映画人九条の会」も16日に、安全保障関連法案に反対するアピールに賛同する映画人が446人に達したとの発表を行いました。

このアピールの呼び掛け人の一人である高畑勲監督は、「自公の議員も(審議の進め方などに)全面的に賛成していないのに、どんどん進んでしまっている。日本人にはズルズル体質がある。重大な物事を決める時に大勢に順応し、破局に至っても誰も責任を取らない。ズルズル体質を自覚し、一線を越えてはならない」と語ったとのことです。

この指摘は「新国立競技場の建設計画」にも当てはまるでしょう。このことについては前回のブログでふれましたが、高畑監督の指摘は無責任な「安倍政権」に原発の再稼働などを委ねることの危険性も物語っているでしょう。

 

高畑監督ら呼びかけ安保法案反対 大物監督・俳優ら賛同:朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/articles/ASH7J5RGXH7JULZU00R.html …

「大義」を放棄した安倍内閣(2)――「公約」の軽視

sho_f-1

衆院本会議で「安全保障関連法案」を与党が単独で「強行採決」した後で、菅義偉官房長官が記者会見で参院での速やかな審議入りを拒む野党に対し「参院は良識の府と言われる。審議に協力いただけると思う」とけん制したとのニュースが伝えられました(太字は引用者)。

しかし、安倍首相は強行採決前の質疑で、「安全保障関連法案」について「まだ国民の理解が進んでいないのも事実だ」と認めていました。

法案の強行採決を行った衆院平和安全法制特別委員会の浜田靖一委員長も、法案可決後には国会内で記者団に「もっと丁寧にすべきだとの批判もあった。分かりやすくするためにも法律を10本も束ねたのはいかがなものか」と語っていました。

すなわち、「安全保障関連法案」は一本の法案ではなく、「国際平和支援法」と10本の戦争関連法をまとめたものであることを考慮するならばこの法案の審議には、これまでの法案の10倍の時間をかけなければならないことは明白でしょう。

菅義偉官房長官に「良識」があるならば、本来費やすべき10分の1の短時間で「強行採決」したこの法案を廃案にし、次の議会で徹底的に議論すべきと安倍首相に進言すべきでしょう。

リンク→「大義」を放棄した安倍内閣

*  *   *

記者会見での今回の発言からは、「汚染水」の問題が深刻な問題となっていたにもかかわらず、その事実が隠されたままで行われた昨年7月の参議院議員選挙のことや、衆議院が解散されて昨年末の総選挙では「秘密法・集団的自衛権」は、「争点にならず」と明言していた菅義偉官房長官の発言が思い起こさせられます。

オリンピック招致の際に安倍首相が国際社会にむけて「汚染水」の問題は「アンダーコントロール」であると宣言していたことが偽りであったことはすでに明らかになっていますが、「安全保障関連法案」の強行採決の後では「公約」の「新国立競技場建設計画」も白紙撤回になりました。

「安全保障関連法案」だけでなく、十分な国民的議論もなく安倍政権が強引な手法で進めてきた「特定秘密保護法」や「集団的自衛権」と「憲法」と教育の問題、さらには「公約」を破って交渉が進められているTPPの問題などは、いずれも「国民の生命や財産」や国際情勢、さらには地球環境にかかわる重要な問題です。

「憲法」や「学問的な知」を侮辱し、「情念」的な言葉で「国民の恐怖」を煽り、戦争の必要性を強調するような安倍政権の手法は、「国民」には重要な情報を知らせずに戦争の拡大に踏み切り、ようやく沖縄戦と二度にわたる原爆投下の後で敗戦を認めた第二次世界大戦時の参謀本部の手法ときわめて似ていると言わざるをえないでしょう。このままでは経済の破綻や大事故が起きた後で、国民がようやく事実を知ることになる危険性が大きいと思われます。

権力を維持するために「公約」を軽視して、「国民の生命」や「地球の環境」を危険にさらしている「安倍政権」の一刻も早い退陣を求めます。

リンク→昨年総選挙での「争点の隠蔽」関連の記事一覧

(2015年7月20日、副題と文章の追加)

 

『安全保障関連法案に反対する学者の会』の賛同者(学者・研究者)が10,857人に

『安全保障関連法案に反対する学者の会』のアピールへの賛同者(学者・研究者)の人数は、7月17日9時00分現在で一万人を超えて10,857人に、市民の賛同者が21.377人に達しました。

リンク→http://anti-security-related-bill.jp

*   *

「憲法」や「学問的な知」を侮辱し、「情念」的な言葉で「国民の恐怖」を煽り、戦争の必要性を強調するような安倍政権の手法が、真面目な研究者たちの怒りを駆り立てていると言えるでしょう。

未来の世代を担う世代のSEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy – s)自由と民主主義のための学生緊急行動)などの声も確実に広がっているようです。

*   *

いよいよ審議は参議院に移ります。

YouTubeの「あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみた」は、「文明史」的な理解を欠いた形でこの法案を解説した自民党・広報の「教えて!ヒゲの隊長」の説明を分かりやすく論破していますので再掲します。