高橋誠一郎 公式ホームページ

06月

マイナンバー・カードの普及と大本営発表の戦果

マイナンバーカードは ドイツでは違憲判決が出て廃案となり、フランスは導入せず、 イギリスも運用後1年で廃止になるなど、世界では厳しい対応が行われてきた成されてきた。

一方、デジタル庁はこのマイナンバー・カードの危険性を周知せず、「申請するとポイント最大20,000円」という怪しい儲け話的な手法で強引に押し進めてきた。

さらに、「政府は9日、マイナンバーカードの用途拡大を柱とするデジタル施策の「重点計画」を閣議決定した。その中に、政府が国立大に対し、授業の出欠確認などマイナカードの利用実績に応じて、交付金を配分する施策が盛り込まれた。」。

これに対して「東京新聞」は「学業や研究とは関係のないマイナカードの使用状況で、教育施設に与えるカネの多寡を決めるというのだ。道理が通る手法だろうか」と疑問を記している(2023年6月16日)。

J-CASTトレンドは「保険証との一本化「見直し」論に反響」と題した記事で 「昨年6月の段階では、現行の保険証とマイナ保険証の「選択制」のはずだった。ところが河野太郎デジタル相が同10月、唐突に保険証の廃止を表明した」ことに対して読売新聞が『保険証廃止の見直し』を主張した だけでなく、新聞各社が次のような批判的社説を掲げたことを紹介している。

東京新聞も7日付で「マイナカード 性急に運用拡大するな」という社説を掲載。「全国保険医団体連合会のアンケートでは、高齢者施設の九割以上が申請の代理や暗証番号を含むカードの管理はできないと答えた」などを理由に、「少なくとも現行の健康保険証は維持すべき」だと強調している。

このほか、北海道新聞は3日、「マイナ保険証 不安放置して『強制』か」、毎日新聞は2日、「マイナ保険証の迷走 国民の視点を欠いている」、朝日新聞も5月25日、「マイナカード 拙速な活用拡大反省を」と批判するなど、各紙の社説は手厳しい内容になっている。

 一方、問題点を指摘された河野大臣は丁寧に説明するのではなく、むしろ逆ギレしたことが伝えられている. が、そのような対応は敗戦が続いていても国民には勝ち続けているとした大本営発表の発表を想起させる。

 堀田善衞は『若き日の詩人達の肖像』で、「先月からはソロモン海域で海軍は眼を瞠らされるような戦果を挙げつづけ、東条総理大臣の『皇軍は各地に転戦、連戦連勝、まことにご同慶の至りであります』というきまり文句が流行っていた」が、「『ガダルカナルでは陸軍は殲滅的な打撃をうけているらしい』」と記しているのである(集英社文庫、下巻・292-3頁)。

今回の国会ではウクライナ危機を煽る事で危険な法案がいくつも成立したが、秋に行われる総選挙に向けてこれからは冷静にそれらの法案を再検討して、廃案にすることが必要だと思える。