高橋誠一郎 公式ホームページ

「特定秘密保護法」

「強行採決に抗議する日本ペンクラブの声明」を「新着情報」に掲載しました

 

「東京新聞」の昨日の夕刊には、「特定秘密保護法案」が「時代に逆行」しており、「言論統制の第一歩」であるとの浅田次郎・日本ペンクラブ会長の談話が載っていました。

実際、国会での審議を軽視しただけでなく、地方の不安や報道機関の要請などを無視したこの強行採決は、戦前や戦中の「言論弾圧」につながっているといえるでしょう。

「平和」を党是としてきた与党の公明党が今回の暴挙ともいえる強行採決に際して、自民党の「ブレーキ」となるどころか、「アクセル」を踏んでいるようにも見えるのはなぜでしょうか。権力の側に身を置けば、戦時中のような「大弾圧」からは逃れられると考えているのかもしれません。

しかし、隣国のロシア革命での権力闘争を例に出すまでもなく、明治維新でも権力を握った薩長が今度は互いに激しく争ったことは、司馬遼太郎氏の長編小説『歳月』や『翔ぶが如く』の読者ならばよく知っていることです。

権力者の元にすべての情報が集まるような仕組みの危険性は、ジョージ・オーウェルの『1984』やザミャーチンの『われら』などの長編小説ですでに詳しく描かれています。

福島第一原子力発電所の大事故の状況をきちんと観察して、脱原発への道筋を作るだけでなく、若者たちを戦場へと兵士として送らないためにも、この法案は廃案にする必要があるでしょう。

日本ペンクラブの「特定秘密保護法案の衆議院特別委員会強行採決に抗議する声明」を「新着情報」に掲載しました

情報公開(グラースノスチ)と福島の原発事故

 

 

衆議院での「特定秘密保護法」の強行採決を受けて「良識ある」各新聞の朝刊は一斉に批判の記事を掲載しています。

ここでは「民主主義の土台壊すな」という副題を持つ毎日新聞の社説を引用しておきます。

   *   *   *。

「あぜんとする強行劇だった」という書き出しで始まるこの記事は、採決前に安倍晋三首相が退席していたこを指摘した後で、次のように続けています

 

 「与党すら胸を張れない衆院通過だったのではないか。採決前日、福島市で行った地方公聴会は、廃案や慎重審議を求める声ばかりだった。だが、福島第1原発事故の被災地の切実な声は届かなかった。

 審議入りからわずか20日目。秘密の範囲があいまいなままで、国会や司法のチェックも及ばない。情報公開のルールは後回しだ。

 国民が国政について自由に情報を得ることは、民主主義社会の基本だ。法案が成立すれば萎縮によって情報が流れなくなる恐れが強い。審議が尽くされたどころか、むしろ法案の欠陥が明らかになりつつある。」

   *   *   *

ここで注目したいのは、採決前日に福島市で行われた「地方公聴会」での意見が全く無視されていることを指摘した後で、この記事が「情報公開のルール」の必要性を説いていることです。

安倍政権の政策には、地方を無視してでも、中央の利権を確保しようとする姿勢が強く見られるのです。一方、ソ連ではチェルノブイリ原発事故以降に、「情報公開」の要求は強まり、原発事故の危険性の認識が高まっていました。

今回の「特定秘密保護法」の拙速な強行採決は、「特定秘密保護法」が当時のソ連の対応と比較しても明らかに遅れているだけでなく、「テロ」対策を前面に出すことで「原発事故」の問題を「秘密の闇に覆う」ことを密かにねらっているとさえ思えてきます。

少し古い記事になりますが、「グラースノスチ(情報公開)とチェルノブイリ原発事故」と劇《石棺》から映画《夢》へ リンクしておきます。

    (リンク先を追加しました)。

司馬作品から学んだことⅡ――新聞紙条例(讒謗律)と内務省

先ほど、各新聞が一斉にネット版で、「与党が採決を強行」し「特定秘密保護法」が衆議院を通過したとの号外を報じました。

安倍首相は「この法案は40時間以上の審議がなされている。他の法案と比べてはるかに慎重な熟議がなされている」と答弁したとのことですが、首相の「言語感覚」だけでなく、「時間感覚」にも首をかしげざるをえません。

  *   *   *

11月13日付けのブログ記事「特定秘密保護法案」と明治八年の「新聞紙条例」(讒謗律)では、「明治初年の太政官が、旧幕以上の厳格さで在野の口封じをしはじめたのは、明治八年『新聞紙条例』(讒謗律)を発布してからである」という『翔ぶが如く』の一節を引用しました。

また、「普仏戦争」で「大国」フランスに勝利してドイツ帝国を打ち立てたビスマルクと対談した大久保利通が、「プロシア風の政体をとり入れ、内務省を創設し、内務省のもつ行政警察力を中心として官の絶対的威権を確立」しようとしたことにも触れました(文春文庫、第1巻「征韓論」)。

*    *   *

内務省が設置されたのは、『新聞紙条例』(讒謗律)の発布の2年前の1873年(明治6年)のことでしたが、司馬氏は坂本龍馬の盟友であった木戸孝允(桂小五郎)の目をとおして次のように記しています。

「内務省がいかにおそるべき機能であるかということは、木戸には十分想像できた。内務省は各地方知事を指揮するという点で、その卿たる者は事実上日本の内政をにぎってしまうということになる。知事は地方警察をにぎっている。従って内務卿は知事を通して日本中の人民に捕縄(ほじょう)をかけることもできるのである。さらに内務卿の直轄機構のなかに、川路利良が研究している警視庁が入っている。警視庁は東京の治安に任ずるだけでなく、政治警察の機能ももち、もし内務卿にしてその気になれば、同僚の参議たちをも検束して牢にたたきこむこともできるのである。」(文春文庫、第1巻「小さな国」)。 

(2016年11月1日、リンク先を変更)

正岡子規の時代と現代(3)――「特定秘密保護法」とソ連の「報道の自由度」

「特定秘密保護法案」の強行採決と日本の孤立化

先日、国際ペン会長の声明を「新着情報」に掲載しましたが、反響が大きかったので日本ペンクラブの声明とともにリンク先を再掲します。

2013.11.20国際ペン会長 日本政府の「特定秘密保護法案」に対する声明

2013.10.25「特定秘密保護法案の閣議決定に強く抗議する」

   *   *   *

 

周知のこととは思いますが、国際社会からの反応をいくつかあげておきます。

アメリカのニューヨーク・タイムズが、この法案が「国民の知る権利を土台から壊す」だけでなく、「東アジアでの日本に対する不信」をいっそう高めるとの厳しい批判を書いていました。

「国連人権理事会」もこの法案が「内部告発者やジャーナリストを脅かす」との懸念を表明していました。

さらに、元NSC高官のハンペリン氏がこの法案を「国際基準」を逸脱しており、「過剰指定 政府管理も困難」との指摘をしていることを伝えています(23日、毎日新聞)。

最も重要なのは「国連関係者を含む70カ国以上の専門家500人以上が携わり、2年以上かけて作成され」、今年の6月にまとまった「ツワネ原則」と呼ばれる50項目の「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」でしょう。

海渡雄一弁護士はじめ多くの有識者が指摘しているように、問題はすでにこのような国際原則が明らかになっているいもかかわらず、「特定秘密保護法案」にはこの「国際的議論の成果」が反映されていないことです。

   *   *   *

今朝の報道では、「特定秘密保護法」の全容や問題点の討議が十分に行われないまま、政府と与党は法案の衆議院通過をはかるとの記事が載っていました。

安倍政権は、アメリカからの「外圧」を理由にこの法案を強行採決をはかっているようですが、この法案が通った後ではそのアメリカからも強い批判が出て、国際社会から「特定秘密保護法」の廃止を求められるような事態も予想されます。

かつて「国際連盟」から「満州国」の不当性を指摘された日本政府は、国連から脱退をして孤立の道を選びました。「国際社会」から強く批判をされた際に孤立した安倍政権は、どのような道をえらぶのでしょうか。

この法案の廃止や慎重審議を求めている野党だけでなく、政権与党や自民党の代議士にも国際関係に詳しい人はいると思われますので、強行採決の中止を強く求めます。

復活した「時事公論」と「特定秘密保護法」

 

8月6日に書いたブログ記事消えた「時論公論」(?)で、8月2日(金)の深夜に原発汚染水危機 総力対応をとのタイトルで、汚染水への緊急の対策の必要性を訴えた解説委員・水野倫之氏の放送についての文字情報がインターネット上の「NHK解説委員室」に示されていないことを指摘していました。

本日、念のために確認したところ掲示されていました。素人の私以外にも多くの報道関係者がすでに知っていたようなので「復活」したのでしょう。重要な情報なのでリンクしておきます。時論公論 「原発汚染水危機へ総力対応を」2013年08月02日 (金)

   *   *   *

「汚染水問題」が深刻化していたことも参議院選挙で自民党が大勝した後で公になっていましたが、情報の正確さはもちろんのこと、その情報が出される時期も非常に重要です。ことに「公共放送」であるべきNHKが伝える情報の質は重大なので、その時の記事をそのまま再掲しておきます。

なぜならば、「『原発ホワイトアウト』(講談社)を推す」というブログ記事でも書きましたが、このような国民の生命に関わる重要な情報を知ろうとしたり伝えようとすることさえも、今回のずさんな「特定秘密保護法」では罪に問われる危険性が出てくると思われるからです。

    *   *   *

「映画・演劇評」に書いた「劇《石棺》から映画《夢》へ」という記事にも書いたことですが、「ロシア帝国」の厳しい検閲のもとに作品を書いていた作家ドストエフスキーの研究をしているので、「検閲」のことにどうしても敏感になります。

汚染水の危機と黒澤映画《夢》」と題した8月4日のブログ記事で、8月2日(金)の深夜午前0時から10分間、「原発汚染水危機 総力対応を」とのタイトルで、汚染水への緊急の対策の必要性を訴えた解説委員・水野倫之氏の放送の内容をお伝えしました。

ただ、その時点ではまだ詳しい文字情報が出ていなかったので、(副題などについては、後日確認します)と記していました。

ブログを書いた8月4日の時点では土日を挟んでいるので、まだ記事が掲載されないのだと考えていたのですが、その後、インターネット上の「NHK解説委員室」にある「最新の解説」欄や「最新の解説30本」という欄を見ても、記事が見つからないので気になっています。

8月1日付けの時論公論 「日韓関係に司法の壁」出石直・解説委員)の次に出てくるはずの水野氏の解説記事がなく、

8月3日付けの時論公論 「”夢の降圧剤”問われる臨床研究」(土屋敏之・解説委員)へと飛んでいるのです。

なぜなのでしょうか。私のホームページ上の問題で、私だけが検索ができないのならばよいのですが…。

「国民の生命」にも関わる問題への勇気ある解説だったので、ぜひ再放送をしていただきたいと願っています。

   *    *   *

 私がHNHKというテレビ局の姿勢に強い疑問を持つようになった理由については、近いうちに「改竄(ざん)された長編小説『坂の上の雲』――大河ドラマ《坂の上の雲》をめぐって」(仮題)という記事を書きたいと考えています。

司馬作品から学んだことⅠ――新聞紙条例と現代

「第五福竜丸」事件から60年目にあたる来年の3月には発行したいと考えている『黒澤明と小林秀雄――「罪と罰」で映画《夢》を読み解く』の執筆がここのところ遅れがちなので、しばらくは「特定秘密保護法」についての記述は控えるようにしようかと考えていました。

しかし、今朝の「東京新聞」には、修正案の「国会」での討議もほとんどないままに、与党がこの法案の衆議院での通過を考えているとの記事が載っていました。このことは民主主義の根幹である「国会」をないがしろにしてでも、政府・与党が権力を絶対化することのできるこの法案の成立を狙っていることを物語っていると思います。

   *   *  *

「ブログ」に書いた〈司馬遼太郎の「治安維持法」観〉と〈「特定秘密保護法案」と明治八年の「新聞紙条例」(讒謗律)〉 を読んだ知人の方から下記のようなメールを頂きました。

「確かに新聞紙条例なんていう悪法もありましたね。
21世紀にもなるというのに、秘密保護法の次には新聞紙条例、なんていうことになるのでしょうか。
言論の自由があるうちに、きちんと発言しておかなければ、気がついたらなんの自由もなくなっていた、ということになってしまうかもしれません。」

実際、現在の政府・与党のやり方からは、まずは国民の「言論の自由」を制限し、その後で「改憲」を行おうとする意図が前面に出てきていると思えます。

  *  *  *

司馬氏の歴史観については、これまでも矮小化された形で論じられることが多かったのですが、『坂の上の雲』が3年間にわたり、司馬氏の遺志に反して放映されたこともあり、きわめて評判が悪くなっています。

しかし、前記の「ブログ」記事などでも引用したように、司馬氏が『翔ぶが如く』で詳細に記した「新聞紙条例」(讒謗律)や内務省についての考察からは、幕末から現代の状況をも予見するような視野の広さが感じられます。

「言論の自由」を奪われる前に、「記事」のようなまとまったものにはならない場合もありますが、時間の合間を縫って考えたことや感じたことや少しずつでも掲載することで、司馬作品の多くの愛読者にも「特定秘密保護法」の危険性を伝えていきたいと考えています。

 (2016年2月10日。改題し、リンク先を追加。2016年11月1日、リンク先を変更)

正岡子規の時代と現代(1)――「報道の自由度」の低下と民主主義の危機

正岡子規の時代と現代(2)――「特定秘密保護法」と明治八年の「新聞紙条例」(讒謗律)