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正岡子規の時代と現代(1)――「報道の自由度」の低下と民主主義の危機

正岡子規の時代と現代(1)――「報道の自由度」の低下と民主主義の危機

 「この時期、歴史はあたかも坂の上から巨岩をころがしたようにはげしく動こうとしている」(司馬遼太郎『翔ぶが如く』、文春文庫、第3巻「分裂」。拙著『新聞への思い――正岡子規と「坂の上の雲」』81頁)

isbn978-4-903174-33-4_xl装画:田主 誠/版画作品:『雲』

 

正岡子規の時代と現代(1)――「報道の自由度」の低下と民主主義の危機

2013年11月13日のブログ記事で私は長編小説『翔ぶが如く』の上記の文章を引用して、「世界を震撼させた福島第一原子力発電所の大事故から『特定秘密保護法案』の提出に至る流れを見ていると、現在の日本もまさにこのような状態にあるのではないかと感じる」と記しました。

その後の「安全保障関連法案」の強行採決から現在に至る安倍政権の手法は、薩長藩閥政権による独裁的な権力の成立と言論の弾圧にきわめて似ていると思われます。

たとえば、2013年12月6日の「東京新聞」(ネット版)は、「特定秘密保護法案が5日午後の参院国家安全保障特別委員会で、自民、公明両党の賛成多数により可決された」ことを伝え、〈官僚機構による「情報隠し」や国民の「知る権利」侵害が懸念される法案をめぐる与野党攻防は緊迫度を増した。〉と記していました。

「秘密保護法は党内で阻止する勇気が必要」、「党内議論がない総裁独裁が一番怖い」などの古賀誠元自民党幹事長の発言を掲載した翌日の「日刊 ゲンダイ」の文章を引用した私は、こう記しました。「現在の国会で圧倒的な議席を占める自民党や公明党の議員からも、これらの問題を指摘してさらなる慎重な審議を要求する声が出ても当然のように思えます。しかし、すでに自民党は『総裁』の『独裁』が確立し、与党内でも『言論の自由』が早くもなくなっているように見えます」。

そのことを裏付けるかのように日本の「報道の自由度」は一気に世界で72位まで落下し、今年10月25日の「東京新聞」は〈自民党は、党則で連続「2期6年」までと制限する総裁任期を「3期9年」に延長する方針を固めた〉ことを伝えています。

それゆえ、少し古い記事になりますが、明治の新聞人・正岡子規の視線をとおして、「特定秘密保護法案」や「安全保障関連法案」などの問題を、国内を二分した「西南戦争」から「日清・日露戦争」へと拡大していった明治時代における「教育勅語」や「新聞紙条例」と新聞報道などの問題を考察した記事を再掲します。

ただ、約3年前に書いた記事なので、関連する記事や新しい出来事などについての記述なども補った形で記すことにします。

『新聞への思い――正岡子規と「坂の上の雲」』(目次

→人文書館のHPに掲載された「ブックレビュー」、新聞への思い 正岡子規と「坂の上の雲」』

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