高橋誠一郎 公式ホームページ

3-0-1,「ロシア文学研究」のページ構成と授業概要

3-0-1,「ロシア文学研究」のページ構成と授業概要

リンク→0、〈「不思議の国」ロシア〉のページの構成と題名  

Ⅰ、「ロシア文学研究」のページ構成(2019年案)

1280px-The_Bronze_Horseman_(St__Petersburg,_Russia)

(←画像をクリックで拡大できます) (図版はプーシキンの叙事詩『青銅の騎士』のモデルとなった「ピョートル大帝の騎馬像」、ロシア語版「ウィキペディア」より)

Ⅱ、講義概要

 この講義では近代日本文学の成立に大きな役割を果たしたロシア文学を、ドストエフスキーの『罪と罰』を中心に、ロシア文学の父と呼ばれるプーシキンの作品からツルゲーネフの『猟人日記』やトルストイの『戦争と平和』に至る流れを考察する。そのことにより映像資料なども用いながら分析することで、世界の文学や近代日本文学とロシア文学との深い関わりを考察する。

 具体的には比較文学的な手法により、シェイクスピアの戯曲やゲーテの『若きヴェルテルの悩み』、ディケンズの『クリスマス・キャロル』、そしてユゴーの『レ・ミゼラブル』と『罪と罰』との深い関わりを明らかにする。さらに、『罪と罰』の筋や人物体系の研究の上に成立している島崎藤村の長編小説『破戒』などを分析することにより、近代日本文学とロシア文学との深い関わりを示すとともに、ロシア文学の現代的な意義を明らかにする。
 (ロシア語の知識は必要としない)。

 、講義目標

1,ロシア文学と世界文学の名作との関わりをとおして文学の面白さと深さを示す。

2,映画化された文学作品も取り上げることで、映画と文学との関わりにも言及する。

3,テキストをきちんと読み解くことにより、「自己と他者」、「論理と感情」、「都市と自然」などの問題が作品にどのように描かれているかを分析し、総合的な学問としての文学の意味を明らかにする。

 

Ⅳ、シラバス(案)

① 9月23日 序に代えて――ロシアの歴史と文学

② 9月26日 ロシアの民話から文学へ――プーシキンの『ルスラーンとリュドミーラ』

③ 9月30日 シェイクスピアの受容とプーシキンの『ボリス・ゴドゥノフ』

④ 10月3日 ロシア生活の百科事典――プーシキンの『エヴゲーニイ・オネーギン』

➄ 10月7日  ナポレオンとの「祖国戦争」――『大尉の娘』から『戦争と平和』へ

⑥ 10月10日 「正義の戦争」と「祖国戦争」――『戦争と平和』(2)

⑦ 10月14日 「死刑」の体験と農民との出会い――『戦争と平和』(3)

⑧ 10月17日 ゲーテの受容と書簡体形式の小説『若きヴェルテルの悩み』

⑨ 10月21日 『貧しき人々』における「いじめ」の考察と文学の意義の検証――往復書簡という形式

⑩ 10月24日 フランスの二月革命とドストエフスキー ――混迷の時代と『聖書』との出会い

⑪ 10月31日 農民の疲弊と高利貸しという職業――北村透谷の『罪と罰』論と『レ・ミゼラブル』論

⑫ 11月4日   ドストエフスキーの雑誌『時代』と徳富蘇峰の『国民之友』――内田魯庵訳『虐げられた人々』

⑬ 11月7日 明治の雑誌『文学界』と島崎藤村の長編小説『春』――北村透谷の考察

⑭11月11日 ドストエフスキーのユゴー観とユゴーの『レ・ミゼラブル』の人物体系の比較

⑮11月14日 レ・ミゼラブル』ジャヴェールと『罪と罰』の司法取締官ポルフィーリイ

⑯11月18日 ラスコーリニコフの先行者・マリユスのナポレオン観

⑰11月21日 女家庭教師という職業――樋口一葉の「十三夜」と『罪と罰』のドゥーニャ

⑱11月25日 ラズミーヒンと妹の婚約者・弁護士ルージンの経済理論とラスコーリニコフの統計理論

⑲11月28日 「生きていた老婆」の夢と目撃者としての身体――『罪と罰』と『クリスマス・キャロル』

⑳12月2日 小林秀雄の『罪と罰』論と手塚治虫のマンガ『罪と罰』――「非凡人の理論」をめぐって

㉑12月5日 日露戦争の時代とロシア文学の受容――木下尚江の『火の柱』とトルストイの反戦論

㉒12月9日  『罪と罰』と『破戒』における人物体系と噂という手法――島崎藤村のドストエフスキー観と小林秀雄

㉓12月12日 『罪と罰』から『破戒』へ(2)――「良心」の問題とテロの危険性

㉔12月16日 『罪と罰』から『破戒』へ(3)――旧友・ベケートフと土屋銀之助の自然観

㉕12月19日 ソーニャの自然観とレイチェル・カーソンの『沈黙の春』

㉖12月23日 「文明の危機」と「大地との絆」――『罪と罰』から《風の谷のナウシカ》へ

㉗1月16日 「虐げられた女性」の考察――『貧しき人々』から『白痴』へ

㉘1月20日「本当に美しい人」の探求――『ドン・キホーテ』から『白痴』へ

 

Ⅳ、テキスト

『「罪と罰」の受容と「立憲主義」の危機――北村透谷から島崎藤村へ』

(装丁:山田英春)

ISBN978-4-86520-031-7 C0098
四六判上製 本文縦組224頁
定価(本体2000円+税)

 

Ⅵ.参考書と推薦する翻訳書

指定図書

川端香男里『100分de名著、トルストイ「戦争と平和」』、NHK出版

トルストイ『戦争と平和』 : 人はいかに生きるべきか

井桁貞義『ドストエフスキイと日本文化――漱石・春樹、そして伊坂幸太郎まで』、教育評論社(図書館に配架)

第1部 黎明期(漱石とドストエフスキイ;『レ・ミゼラブル』『罪と罰』『破戒』) 第2部 戦後日本のドストエフスキイ(ドストエフスキイの時代;ドストエフスキイと黒澤明) 第3部 現代日本のドストエフスキイ(『白痴』と「無力なイエス」;大江健三郎と“祈り”;村上春樹とドストエフスキイ) 現代へ、そして未来へ

51zg+LIxHVL__SX298_BO1,204,203,200_

 

『欧化と国粋――日露の「文明開化」とドストエフスキー』、刀水書房(図書館に配架)

  287-8

 

『「罪と罰」を読む(新版)――〈知〉の危機とドストエフスキー』刀水書房(図書館に配架)

【同時代のロシアや西欧の小説も視野に入れて比較文学会的な手法で読み解くことにより、主人公の言動と「人類滅亡の悪夢」などをとおして、「弱肉強食の理論」に基づく「非凡人の思想」の危険性を示唆し、『わが闘争』で「自尊心」を強調しながら「復讐の情念」を煽ったヒトラーの登場を予告した『罪と罰』の現代性に迫る。】

272-x

 

芦川進一『『罪と罰』における復活―ドストエフスキイと聖書』、河合文化教育研究所(図書館に配架)

【ドストエフスキイ文学の根底を貫く新約聖書の意味とは何か。主人公の老婆殺しから始まる表の物語と、その下を流れる「ラザロの復活」をめぐる深層の物語の二重構造に着目し、『罪と罰』に構造的に織り込まれた聖書の意味を開示することを通して、ドストエフスキイ文学の最深部の謎に光をあてる。】。

ashikawa3

『黒澤明と小林秀雄――「罪と罰」をめぐる静かなる決闘』(成文社、2014年) (図書館に配架)

【なぜ映画“夢”は、フクシマの悲劇を予告しえたのか。1956年12月、黒澤明と小林秀雄は対談を行ったが、残念ながらその記事が掲載されなかった。共にドストエフスキーにこだわり続けた両雄の思考遍歴をたどり、その時代背景を探る。】

  005l

『黒澤明で「白痴」を読み解く』(成文社、2011年)

86l(←画像をクリックで拡大できます)

推薦する翻訳書

江川卓訳『罪と罰』上中下(岩波文庫)

326135032613603261370

 

望月哲男訳『白痴』1~3(河出文庫)

白痴 〈1〉 河出文庫 白痴 〈2〉 河出文庫 白痴 〈3〉 河出文庫 

(書影は「紀伊國屋書店」のウェブより)

Ⅶ. キーワード

支配と服従、戦争と平和、死刑、「非凡人の理論」、記憶、復活

 

« »