高橋誠一郎 公式ホームページ

FAQ

FAQ

2018年度の「日露文化交流史」シラバス

「日露文化交流史」のページ構成

Ⅰ、授業概要

福沢諭吉はピョートル大帝の改革をロシアの「文明開化」と呼んだが、江戸時代にロシアでは日本語学校が開かれており、漂流民ゴンザの露和辞典も作成されていた。さらに、ロシアからの第一回使節団とともに帰国した高田屋嘉兵衛はロシアについての詳細な情報を蘭学者たちに伝えていた。

明治時代に翻訳されたトルストイやドストエフスキーなどの文学作品は、近代日本文学の成立に深く関わっているばかりでなく、黒澤明監督の映画や手塚治虫のマンガ、さらには宮崎駿監督のアニメにも大きな影響を与えている。

この講義では江戸時代から今日に至るまでの日露間の交流を歴史と文化の視点から各種の参考文献や映像資料をもとに考察する。国際情勢の変化などに対応してシラバスの内容を変更することがある。

(ロシア語の知識は必要としない)。 

Ⅱ、到達目標

1,江戸時代から現代に至るまでの日露交流の歴史を伝える。

2,現代の日本にも大きな影響力を持っているロシア文学の意味を、映画や漫画、アニメなどをとおして考察する。 3,広い視野から日露関係を考察することで、異文化交流の重要性を認識する。

、授業計画

、授業計画

①4月12日 日本とロシアの交流史概観

②4月16日  ピョートル大帝の改革と日本の漂流民

③4月19日 イルクーツクの日本語学校

④4月23日 大黒屋光太夫とエカテリーナ二世

⑤4月26日 ロシアからの使節団

⑥4月30日 日露戦争の危機と高田屋嘉兵衛

⑦5月7日  リコルドと高田屋嘉兵衛の交渉

⑧5月10日  高田屋嘉兵衛とナポレオンのロシア侵攻

⑨5月14日 高田屋嘉兵衛の日本語能力と交渉力

⑩5月17日 日本の開国とロシアからの黒船――プチャーチン提督とゴンチャローフ

⑪5月21日 ニコライの来日とロシア正教 ――イコン画家、山下りん

⑫5月24日 ロシア文学の受容と近代日本文学の成立――ツルゲーネフの『猟人日記』と二葉亭四迷訳の『あひびき』

⑬5月28日 『エヴゲーニイ・オネーギン』から『戦争と平和』へ――貴族と農民の考察

⑭5月31日 黒澤明監督のロシア文学観と『戦争と平和』――映画《七人の侍》

⑮ 6月4日 映画《七人の侍》における侍と農民の描写と考察

⑯ 6月7日 農奴制の負の遺産とロシア皇帝の暗殺――北村透谷のロシア文学観

⑰ 6月11日 ロシア皇帝の暗殺と明治憲法の発布――『戦争と平和』と『罪と罰』の受容

⑱6月14日  『坂の上の雲』と広瀬武夫のロシア文学観

⑲ 6月18日 ロシアのバレエと日本

⑳6月21日 大都会の影と「鬱蒼たる森」——『罪と罰』と《森は生きている》

㉑ 6月25日 宮崎駿監督とソ連(ロシア)のアニメ

㉒ 6月28日 ドストエフスキーの『罪と罰』と手塚治虫のマンガ『罪と罰』

㉓ 7月2日 ドストエフスキーと島崎藤村における父親の考察――『罪と罰』と『破戒』

㉔ 7月5日 日露戦争の時代と『破戒』における学校制度の考察

㉕ 7月9日 『罪と罰』と『破戒』におけるテロの危険性と「良心」の重要性の指摘

㉖ 7月12日 歌舞伎と映画《イワン雷帝》

㉗ 7月16日 黒澤明と日ソ合作映画《デルス・ウザーラ》

㉘ 7月19日 タルコフスキー監督の映画《惑星ソラリス》から黒澤映画《夢》へ

㉙ 7月23日 「文明の危機」と「大地との絆」――《風の谷のナウシカ》と『罪と罰』

㉚ 7月26日 「カチューシャの唄」と盲目の詩人エロシェンコ――日露交流と中村屋サロン

2018年度の「ロシア文学研究」シラバス

Ⅰ、「ロシア文学研究」のページ構成(2018年)

1280px-The_Bronze_Horseman_(St__Petersburg,_Russia)

(←画像をクリックで拡大できます) (図版はプーシキンの叙事詩『青銅の騎士』のモデルとなった「ピョートル大帝の騎馬像」、ロシア語版「ウィキペディア」より

Ⅱ、講義概要

 この講義ではロシア民話やロシアにおけるキリスト教の受容にも注意を向けながら、ロシア文学の父と呼ばれるプーシキン、トルストイ、ドストエフスキーなどの作品を踏まえたうえで、イエス・キリストをモデルとして「本当に美しい人間」を描こうとし、今も世界的に高い評価を受けている長編小説『白痴』を読み解く。
 具体的には比較文学的な手法により、セルバンテスの『ドン・キホーテ』、シェイクスピア『オセロ』、ゲーテの『若きヴェルテルの悩み』、アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)の『椿姫』、ユゴーの『レ・ミゼラブル』やトルストイの『アンナ・カレーニナ』と『復活』の映像資料、さらに黒澤明監督の映画《白痴》などをとおして比較分析することにより『白痴』の現代的な意義に迫る。(ロシア語の知識は必要としない)。

 、講義目標

1,ロシア文学と世界文学の名作との関わりをとおして文学の面白さと深さを示す。

2,「本当に美しい人」を描こうとした西欧の文学作品にも言及しつつ、ドストエフスキーの長編小説『白痴』の現代性に迫る。

3,テキストをきちんと読み解くことにより、「自己と他者」、「支配と服従」、「戦争と平和」、「都市と自然」などの問題が作品にどのように描かれているかを分析し、総合的な学問としての文学の意味を明らかにする。

Ⅳ、シラバス(改訂版、3-1~3~30)

①9月17日 →序に代えて――混迷の世界と「本当に美しい人」の探求

②9月20日 イエスの時代と『白痴』の時代――ドストエフスキーと『聖書』

③9月24日 世界文学と『白痴』の方法――『ドン・キホーテ』から『白痴』へ

④9月27日 ロシアの民話と文学――プーシキンの『ルスラーンとリュドミーラ』

⑤10月1日 ロシア生活の百科事典――プーシキンの『エヴゲーニイ・オネーギン』

⑥10月4日 『エヴゲーニイ・オネーギン』から『大尉の娘』へ

⑦10月8日 個人の自由の拡大――『若きウェルテルの悩み』と『赤と黒』の受容

⑧10月11日 トルストイと『戦争と平和』(1)

⑨10月15日 「正義の戦争」と「祖国戦争」――『戦争と平和』(2)

10月18日 「死刑」の体験と「農民」との出会い――『戦争と平和』(3)

10月22日 「国際ドストエフスキー・シンポジウム」のため休講→代講、1月24日

⑩10月25日 「国際ドストエフスキー・シンポジウム」のため休講→代講、1月28日

⑪11月1日 ドストエフスキーのユゴー観と『レ・ミゼラブル』――主人公とファンチーヌ

⑫11月5日 大都市と犯罪――ディケンズの『オリヴァー・トゥイスト』と『罪と罰』

⑬11月8日 『罪と罰』のソーニャと文学作品における高利貸しという職業

⑭11月12日 女性の地位と家庭教師という職業――樋口一葉の「十三夜」と『罪と罰』のドゥーニャ

⑮11月15日 ラスコーリニコフの先行者・マリユス――「非凡人の思想」と「正義」の犯罪

⑯11月19日 『レ・ミゼラブル』ジャベールとの対決と司法取締官ポルフィーリイとの対決

⑰11月22日    ドゥーニャの婚約者ルージンとスクルージの哲学

⑱11月26日 『罪と罰』の夢の構造と『クリスマス・キャロル』

⑲11月29日 「弱肉強食の思想」と「他者の喪失」――スヴィドリガイロフの絶望

⑳12月3日 流刑地のシベリアで――シベリアの大自然と「人類滅亡の悪夢」

㉑12月6日 「人類滅亡の悪夢」とラスコーリニコフの「復活」――黒澤映画《夢》

㉒12月10日 大地の重要性――ソーニャとレイチェル・カーソンの『沈黙の春』

㉓12月13日 「文明の危機」と「大地との絆」――『罪と罰』と《風の谷のナウシカ》

㉔12月17日 マグダラのマリアのテーマと『椿姫』――『罪と罰』から『白痴』へ 

㉕12月20日 「天使のような」主人公と混迷のロシア――『白痴』Ⅱ

㉖12月24日 「非凡人」へのあこがれとドン・キホーテ的な主人公――『白痴』Ⅲ

㉗1月17日 長編小説『白痴』と黒澤映画における医者のテーマ――『白痴』Ⅳ

㉘1月21日 ムィシキンとロゴージンとの友情と対立――『白痴』Ⅴ

㉙1月24日 長編小説『白痴』における『ドン・キホーテ』と『オセロ』のテーマ(『白痴』Ⅵ)

㉚1月28日 映画《生きる》から映画《赤ひげ》へ――『白痴』のテーマの深化(「記憶」と主人公の復活)

 

Ⅳ、テキスト

高橋誠一郎『黒澤明で「白痴」を読み解く』(成文社、2011年)

86l(←画像をクリックで拡大できます)

→ 自著紹介、ブルガリア・ドストエフスキー協会のサイトより転載(日本語版)

Ⅵ.参考書など

 →参考書と推薦する翻訳書

Ⅶ. キーワード

本当に美しい人間、支配と服従、戦争と平和、死刑、悲劇、記憶、復活

2017年度のシラバス(ロシア文学研究)

Ⅱ、講義概要

この講義ではロシア民話やロシアにおけるキリスト教の受容にも注意を向けながら、ロシア文学の父と呼ばれるプーシキンからトルストイやドストエフスキーなど今も世界的に高い評価を受けているロシア文学の流れを考察することで、ロシア文学の現代的な意義を明らかにする。

具体的には比較文学的な手法により、シェイクスピアやゲーテの『若きヴェルテルの悩み』、ユゴーの『レ・ミゼラブル』や島崎藤村の長編小説『破戒』などとトルストイの長編小説『戦争と平和』やドストエフスキーの『罪と罰』との関係を映像資料なども用いながら分析することで、世界の文学や近代日本文学とロシア文学との深い関わりを考察する。

 ロシア語の知識は必要としない)。

、講義目標

1,ロシア文学と世界文学の名作との関わりをとおして文学の面白さと深さを示す。

2,映画化された文学作品も取り上げることで、映画と文学との関わりにも言及する。

3,テキストをきちんと読み解くことにより、「自己と他者」、「論理と感情」、「都市と自然」などの問題が作品にどのように描かれているかを分析し、総合的な学問としての文学の意味を明らかにする。

Ⅳ、シラバス(改訂版)

①9月18日  序に代えて――ロシア民話の世界とロシア文学

9月21日 ロシアの民話と文学――プーシキンの『ルスラーンとリュドミーラ』

③9月25日 シェークスピアの受容とプーシキンの『ボリス・ゴドゥノフ』

➃9月28日  ゲーテの受容と書簡体形式の小説『若きヴェルテルの悩み』

⑤10月2日 ロシア生活の百科事典――プーシキンの『エヴゲーニイ・オネーギン』

⑥10月5日  『エヴゲーニイ・オネーギン』から『戦争と平和』へ

⑦10月9日 「正義の戦争」と「祖国戦争」――『戦争と平和』(2)

⑧10月12日 「死刑」の体験と農民との出会い――『戦争と平和』(3)

⑨10月16日 『赤と黒』のジュリヤンと『罪と罰』のラスコーリニコフ

⑩10月19日 ドストエフスキーのユゴー観と『レ・ミゼラブル』

⑪10月23日 ロシア文学の受容と近代日本文学の成立――二葉亭四迷訳「あひびき」と内田魯庵訳『罪と罰』

⑫10月26日 プーシキンからドストエフスキーへ――『貧しき人々』における文学の意義の検証

⑬10月30日 大都市と犯罪――ディケンズの『オリヴァー・トゥイスト』と『罪と罰』

⑭11月2日 『罪と罰』のソーニャと文学作品における高利貸しという職業

⑮11月9日 文学作品における家庭教師という職業――『罪と罰』のドゥーニャとコナン・ドイルの『ソア橋』

⑯11月13日 「謎としての自己」――『罪と罰』と『マクベス』

⑰11月16日 ラズミーヒンと妹の婚約者・弁護士ルージンの経済理論

⑱11月20日 ラスコーリニコフの先行者・マリユス――「非凡人の思想」をめぐって

⑲11月27日 タチヤーナの「不思議な夢」とラスコーリニコフ、そして映画《夢》

⑳11月30日 「生きていた老婆」の夢と目撃者としての身体――黒澤映画《夢》(第四話)

㉑12月4日 追い詰める者たちとの対決とソーニャとの対話

㉒12月7日 『罪と罰』における夢の構造とディケンズの『クリスマス・キャロル』

㉓12月11日 『罪と罰』と島崎藤村の『破戒』(1)

㉔12月14日 『罪と罰』と『破戒』(2)――夏目漱石の『坊っちゃん』を介して

㉕12月18日 『罪と罰』から『破戒』へ(3)――北村透谷との関係を中心に

㉖12月21日 『罪と罰』から『破戒』へ(4)――良心の問題とテロの危険性

 ㉗1月11日 「文明の危機」と「大地との絆」――『罪と罰』から《風の谷のナウシカ》へ

㉘1月15日 マンガ『罪と罰』から『アドルフに告ぐ』へ――「非凡人の思想」と「非凡民族の思想」との対峙

㉙1月18日 「人類滅亡の悪夢」の克服――ラスコーリニコフの「復活」と映画《夢》

㉚1月22日 授業のまとめ

4-1,「ドストエーフスキイの会」例会一覧(第218回~第246回)

このサイトを開設してからも転載してきた「ドストエーフスキイの会」例会の回数も増えました。

第218回以降の「ドストエーフスキイの会」例会一覧を掲載します。

 

ドストエーフスキイの会、第246回例会(合評会)のご案内

ドストエーフスキイの会総会と245回例会(報告者:泊野竜一氏)のご案内

ドストエーフスキイの会、第244回例会(報告者紹介:野澤高峯氏)のご案内

ドストエーフスキイの会、第243回例会(報告者:赤淵里沙子氏)のご案内

ドストエーフスキイの会、第242回例会(報告者:齋須直人氏)のご案内

ドストエーフスキイの会、第241回例会(報告者:高橋誠一郎)のご案内

ドストエーフスキイの会、第240回例会(合評会)のご案内

ドストエーフスキイの会総会と第239回例会(報告者:清水孝純氏)のご案内5月2日
 
ドストエーフスキイの会、第238回例会(報告者:木下豊房氏)のご案内2017年3月12日
 
ドストエーフスキイの会、第237回例会(報告者:大木貞幸氏)のご案内12月31日
 
ドストエーフスキイの会、第236回例会(報告者:熊谷のぶよし氏)のご案内10月26日
 
ドストエーフスキイの会、第235回例会(報告者:金沢友緒氏)のご案内8月28日
 
ドストエーフスキイの会、第234回例会(合評会)のご案内7月2日
 
第47回総会と233回例会(報告者:杉里直人氏)のご案内2016年5月5日
 
ドストエーフスキイの会、第232回例会(報告者:芦川進一氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第231回例会(報告者:田中沙季氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第230回例会(報告者:長瀬隆氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第229回例会(報告者:冷牟田幸子氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第228回例会(合評会)のご案内
 
ドストエーフスキイの会総会と227回例会(報告者:樋口稲子氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第226回例会(報告者:槙田寿文氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第225回例会(報告者:泊野竜一氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第224回例会(報告者:木下豊房氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第223回例会(報告者:北岡淳也氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第222回例会(合評会)のご案内
 
ドストエーフスキイの会総会と第221回例会(報告者:福井勝也氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第220回例会(報告者:堀伸雄氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第219回例会(報告者:金洋鮮氏)のご案内
 
ドストエーフスキイの会、第218回例会(報告者:中本信幸氏)のご案内  
 
なお、「ドストエーフスキイの会」のホームページには、第1回からの発表者と題名が、第167回からは報告者の「報告要旨」と「傍聴記」、そして「事務局便り」が掲載されています。
リンク→HP(http://www.ne.jp/asahi/dost/jds)でご確認ください。
 

2016年、2017年度のシラバスより(ロシアの社会と文化)

2017年度のシラバスより

  1-25、ロシアの映画と音楽――ロシア文学とのかかわりを中心に

.  映画《僕の村は戦場だった》から映画《アンドレイ・ルブリョフ》へ

a.  デューラーの木版画『黙示録の四騎士』

b. 映画《アンドレイ・ルブリョフ》

1280px-Trinity_view

(1890年代に撮影されたトローイッツェ・セールギエフ大修道院の光景。図版は「ウィキペディア」より)

800px-Angelsatmamre-trinity-rublev-1410

(映画《アンドレイ・ルブリョフ》より《至聖三者》のイコン。図版は「ウィキペディア」)

.  シベリアの自然と音楽――映画《シベリヤ物語》

a.イワン・プィリエフ監督と映画作品

プィリエフ監督の映画《白痴》、ポスター

(Хазановскийによる映画《白痴》のポスター、Материал из Википедии)

プルィリエフ監督の映画『白夜』のポスター

(©Валентин Царёвの映画《白夜》のポスター、Материал из Википедии)

プィリエフ監督の映画《カラマーゾフの兄弟》、ポスター

(Дацкевичによる映画《カラマーゾフの兄弟》のポスター、Материал из Википедии)

. 映画と音楽

a.シュニトケと映画《ロマノフ王朝の最後》

浅田真央 Por una Cabeza+シュニトケ:タンゴ(ロマノフ王朝の最期 …(ユーチューブ)

b.  ラフマニノフと映画《シベリヤ物語》

ラフマニノフ:ヴォカリーズ Rachmaninoff: Vocalise, Op.34 No … – YouTube

▶ 6:32

c.  ラフマニノフと文学

ラフマニノフ 交響曲第2番 第3楽章 –

 

 

2016年度

Ⅲ.司馬遼太郎の文明観と遊牧文明

a.司馬遼太郎のロシアへの関心

b.司馬遼太郎の遊牧民族への関心

c.「農耕文明」と「遊牧文明」――地球環境への視野

d.兵器についての考察(1)――兵器の重要性

e.兵器についての考察(2)――兵器の危険性

ズボンや長靴は「騎馬民族」の風俗(司馬遼太郎「天山の麓の緑のなかで」)。

 

Ⅲ.  タルコフスキー監督の映画《アンドレイ・ルブリョフ》と平和への祈り

a. ソ連の映画とタルコフスキー(1932~86年)

b. タルコフスキー監督の《白痴》観と黒澤監督の映画《惑星ソラリス》観

c. タルコフスキー映画における「戦争」と「平和」

d. 映画《アンドレイ・ルブリョフ》

1280px-Trinity_view

(1890年代に撮影されたトローイッツェ・セールギエフ大修道院の光景。図版は「ウィキペディア」より)

e.映画監督タルコフスキー(1932~1986)とその主な作品

800px-Angelsatmamre-trinity-rublev-1410

(映画《アンドレイ・ルブリョフ》より《至聖三者》のイコン。図版は「ウィキペディア」)

 

12、ロシア民話「うるわしのワシリーサ」とバレエ《くるみ割り人形》

Ⅰ.アファナーシエフとロシアの民話

 3264210

(図版は『ロシア民話集』(上)、岩波文庫より)。

a.ロシアの民話と「魔法昔話」

b. 「うるわしのワシリーサ」の筋

c. うるわしのワシリーサとバーバ・ヤガー

(図版は中村喜和編『イワンのくらしいまむかし』成文社より)。

09

. 『エヴゲーニイ・オネーギン』における農村のテーマと不思議な夢 

a.韻文小説『エヴゲーニイ・オネーギン』

b.『エヴゲーニイ・オネーギン』における風景描写

c.タチヤーナの夢

Ⅲ.チャイコフスキーとバレエ《くるみ割り人形》

90px-Nussknacker

(図版は「ウィキペディア」より)。

a.チャイコフスキーについて

b.マリインスキー劇場とバレエ《くるみ割り人形》

c.バレエ《くるみ割り人形》のあらすじ

1-26、アニメ映画《雪の女王》と宮崎駿監督のアニメ映画(改題)

1-27、 「戦争と革命の世紀」とタルコフスキー監督の映画《アンドレイ・ルブリョフ》

1-28、 チェルノブイリ原発事故――ソ連の崩壊からロシア連邦へ

1-30、現代のロシアと日本――講義の復習とまとめ

 

2016年度、2015年度のシラバス(ロシア文学研究)

シラバス(2016年度改訂版)

①9月19日 6-1,序に代えて――ロシア民話の世界と『罪と罰』の構造

②9月22日  プーシキンからドストエフスキーへ――『貧しき人々』の新しさ

③9月26日 世界文学との関連――『若きヴェルテルの悩み』から『罪と罰』へ

④9月29日 大都市と犯罪――『オリヴァー・トゥイスト』から『罪と罰』へ

⑤10月3日 明治の自由民権運動と『罪と罰』の受容——内田魯庵の翻訳と北村透谷

⑥10月6日 ドストエフスキーのユゴー観と日本における『レ・ミゼラブル』の受容

⑦10月10日  『レ・ミゼラブル』のファンティーヌと『罪と罰』のソーニャ

⑧10月13日 『罪と罰』の推理小説的構造――『罪と罰』とコナン・ドイルの『ソア橋』

⑨10月17日 タチヤーナの「不思議な夢」と「やせ馬が殺される夢」、そして映画《夢》

⑩10月20日 「謎としての自己」――『罪と罰』と『マクベス』

⑪10月24日 ラズミーヒンとドゥーニャの婚約者ルージン

⑫10月27日   帝政ロシアにおける「良心」の問題と明治期の雑誌『文学界』

⑬11月7日 ラスコーリニコフの「非凡人の思想」と『赤と黒』のジュリヤン

⑭11月10日 「正義の戦争」と「祖国戦争」――トルストイ『戦争と平和』(1)

⑮11月14日 「死刑」の体験と農民との出会い――『戦争と平和』(2)

⑯11月17日 「生きていた老婆」の夢と目撃者としての身体――黒澤映画《夢》(第四話)

⑰11月21日 ラスコーリニコフの「正義の犯罪」観と『レ・ミゼラブル』マリユスの「革命」観

⑱11月24日 ポルフィーリイとの対決と『レ・ミゼラブル』ジャベールとの対決

⑲11月28日 大地の重要性――ソーニャとレイチェル・カーソンの『沈黙の春』

⑳12月1日 「弱肉強食の思想」と「他者の喪失」――スヴィドリガイロフの絶望

㉑12月5日 『罪と罰』における夢の構造とディケンズの『クリスマス・キャロル』Ⅰ

㉒12月8日 『罪と罰』における夢の構造と『クリスマス・キャロル』Ⅱ、レポートについて

 ㉓12月12日 流刑地のシベリアで――シベリアの大自然と映画《デルス・ウザーラ》

 ㉔12月15日 『罪と罰』における「人類滅亡の悪夢」――小林秀雄と黒澤明の夢の解釈をめぐって

㉕12月19日 「人類滅亡の悪夢」とラスコーリニコフの「復活」―黒澤映画《夢》の「赤富士」と「鬼哭」から「水車のある村」へ

㉖12月22日 「文明の危機」と 「大地との絆」――『罪と罰』と《風の谷のナウシカ》

㉗1月12日 ドストエフスキー作品における夢と夏目漱石の『夢十夜』

㉘1月16日 『罪と罰』と島崎藤村の『破戒』Ⅰ

㉙1月19日 『罪と罰』と島崎藤村の『破戒』Ⅱ

㉚1月23日 レポートについて、授業のまとめ

シラバス(2015年度)

3-1、序に代えて――なぜ今、長編小説『罪と罰』か

 

 

3-2、自己と他者――『若きヴェルテルの悩み』(ゲーテ)から『罪と罰』へ

 

3-1、序に代えて――なぜ今、長編小説『罪と罰』か

リンク→3-0-1,「ロシア文学研究」のページ構成と授業概要

Trutovsky_004

26歳時のドストエフスキーの肖像画、トルトフスキイ絵、図版はロシア語版「ウィキペディア」より。

3-1、序に代えて――なぜ今、長編小説『罪と罰』か 

(ガイダンスなので、「講義の流れ」だけでなくレジュメの案全体を示す)

Ⅰ、シラバスについて(3-0-1,参照)

Ⅱ、二つのドストエフスキー観

a.文芸評論家・小林秀雄の『罪と罰』論

「罪の意識も罰の意識も遂に彼(引用者注──ラスコーリニコフ)には現れぬ」と解釈し、「第六章と終章とは、半分は読者の為に書かれたのである」と断言していた小林秀雄の『罪と罰』論が広まって以降、日本ではドストエフスキーは主人公たちの情念や屈折した人間関係を描く作家のように見られることが多い。

b.ヘルマン・ヘッセのドストエフスキー観

しかし、『罪と罰』のエピローグにおけるその思想的な到達点を踏まえて、ドストエフスキーは次作『白痴』では「殺すなかれ」という理念を語る若者を主人公としていたが、ドイツの作家・ヘルマン・ヘッセは「ヨーロッパの、少なくともドイツの青年層が、自分たちにとってもっとも偉大な作家としてゲーテでもなければニーチェですらなく、ドストエフスキーを選んでいることは、われわれの運命にとって決定的なことのように思われる」と記していた。このようにドストエフスキーはきわめて広い文明論的な視野を持った作家だったと思われる。

c.『黒澤監督のドストエフスキー観

1951年に映画《白痴》を公開した映画監督・黒澤明も次のように語っていた。

「これは実は《羅生門》の前からやろうときめてた。ドストエフスキーは若い頃から熱心に読んで、どうしても一度はやりたかった。もちろん僕などドストエフスキーとはケタがちがうけど作家として一番好きなのはドストエフスキーですね。生きていく上につっかえ棒になることを書いてくれてる人です。更に僕はこの写真(引用者注――映画のこと)を撮ったことによってドストエフスキーがずいぶんよく判ったと思うのだけど、あの作家は一見客観的でないような場面も、肝心のところになると見事に客観的になってるのね。」

実際、敗戦後間もない舞台を日本に移し、激戦地・沖縄からの「復員兵」を主人公としつつも、長編小説『白痴』の登場人物や筋を生かした映画《白痴》は、日本やロシアの研究者だけでなく、ロシアの映画監督などからも高く評価された。

.『罪と罰』の推理小説的な構造

それは黒澤監督が、ドストエフスキーの長編小説が西欧の小説のさまざまな試みを受け継ぎつつ、ロシアの民話的な世界観にも注意を払うことで、「人間」と「自然」との関わりを根源的な形で問い直していることを認識していたからだろう。

エドガー・アラン・ポーの小説も紹介していたドストエフスキーは、『罪と罰』でも推理小説的な趣向もこらしている。ただ、『罪と罰』の特徴は「犯人は誰か」という謎をではなく、ラスコーリニコフ自身の身体や夢、さらに他の登場人物との関わりを通して、「自分とは何か」、「都市とは何か」、「自然とは何か」というより根本的な「謎」の解明へと向かい、近代西欧文明の問題点を明らかにするとともに、新しい文明の形も探っていることにある。

e.アインシュタインのドストエフスキー観

 アメリカの大統領にナチス・ドイツが核兵器の開発をしていることを示唆した自分の手紙が、核兵器の開発と日本への投下につながったことを知った物理学者のアインシュタインは、その後、核兵器廃絶と戦争廃止のための努力を続け、それは水爆などが使用される危険性を指摘して戦争の廃絶を目指した「ラッセル・アインシュタイン宣言」として結実した。

そのアインシュタインはドストエフスキーについて、「彼はどんな思想家よりも多くのものを、すなわちガウスよりも多くのものを私に与えてくれる」と述べていた(クズネツォフ、小箕俊介訳『アインシュタインとドストエフスキー』れんが書房新社、1985年、9頁)。

f.シベリアの環境問題と「自然支配の思想」の批判

探検家アルセーニエフと自らをナナイ人(大地の人)と呼ぶ少数民族・ゴリド族の狩人デルスとの交流を描いた映画《デルス・ウザーラ》(1975年)の理念について黒澤明監督はこう語っていた。

「人間は自然に対して好き勝手をしている。しかし、本当に自然を怒らせてしまったら、とんでもないことになる。…中略…環境汚染は海面だけでなく、海底にも及んでいる。今地球が危機に瀕している。今人類には環境を守ることが課題となったのだ。科学をそのために使わなければ自然は滅び、それとともに人間も滅びる。『デルス・ウザーラ』は20世紀初めの話だが、私の思いはそこにある」(ウラジーミル・ワシーリエフ、池田正弘訳『黒澤明と「デルス・ウザーラ」』東洋書店)。

186482_mid

(図版は『黒澤明と「デルス・ウザーラ」』東洋書店より)

Ⅲ、ドストエフスキーと世界文学

a.ドストエフスキーが影響を受けた作家

ドストエフスキーはロシアのプーシキンやグリボエードフ、トルストイなどの作家だけではなく、ドイツのゲーテとシラー、フランスの作家バルザックやジョルジュ・サンド、ウージェーヌ・シュー、ユゴー、イギリスのシェイクスピア、ディケンズ、シャーロット・ブロンテやギャスケル、さらには推理小説の父とも呼ばれるエドガー・アラン・ポーからも強い影響を受けている。

彼の作品には歴史小説、家庭小説、悪漢小説や推理小説的な要素などさまざまな要素が見られ、そのために「謎解き」的な楽しさも含んでいる。

b.ドストエフスキーから影響を受けた作家と映画監督

ドイツのヘルマン・ヘッセやトーマス・マン、フランスのプルーストやカミュ、イギリスのスティーヴンソンや、D・H・ロレンス 、さらにはアメリカのフォークナーやヘンリー・ミラーなどの作家が大きな影響を受けている(日本の作家については、別の機会に論じる)。

映画の分野でもロシアのコージンツェフ、プイリエフ、タルコフスキー、ニキータ・ミハルコフやクリジャーノフなどが、イタリアではヴィスコンティ、ポーランドのアンジェイ・ワイダなどの映画監督にも強い関心が見られる。

Ⅳ、到達目標

1,「自己と他者」、「論理と感情」、「都市と自然」などの問題が作品にどのように描かれているかを分析することで、学問としての文学の方法とその意味を確認する。

2,ドストエフスキーの長編小説『罪と罰』の特徴を比較文学的な方法により、ロシア文学やヨーロッパ文学、さらには日本文学の作品との比較や、当時の哲学との関連をとおして考察する。

3,ドストエフスキーを深く敬愛した黒澤明監督の映画《夢》の構造が、『罪と罰』の深い理解に基づいていることを示すことにより、この長編小説の現代的な意義を明らかにする。

Ⅴ. 評価について

長編小説『罪と罰』には難解な面もあるが、この作品を読み解くことで文学の面白さや深みを理解できるだけでなく、現代の主な問題も把握することができるだろう。また、黒澤監督が語っていたように、「生きていく上につっかえ棒になること」も記されている。

きちんとした論理で記されていれば、レポートの結論が教師の見解と異なっていても評価するので、積極的に大きな問題と挑戦してほしい。

3-2、自己と他者――『若きヴェルテルの悩み』(ゲーテ)から『罪と罰』へ

講義の流れ

はじめに、ロシア文学と近代日本文学

a.夏目漱石

Natsume_Soseki_photo

夏目漱石(1867~1916、本名は金之助)。以下の図版は、いずれも「ウィキペディア」より。

b.島崎藤村

800px-Shimazaki_Toson2

島崎藤村(1872~1943、本名は春樹)

c.太宰治

Dazai_Osamu

太宰治(1909~1948、本名は津島修治)

d.村上春樹

主な作品に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』など。

 

Ⅰ、本多監督の映画《ゴジラ》と黒澤監督の映画《夢》

a.「第五福竜丸」事件と映画《ゴジラ》

ゴジラ

(製作: Toho Company Ltd. (東宝株式会社) © 1954。図版は露語版「ウィキペディア」より)

b.「ゴジラ」の咆哮(ほうこう)と『罪と罰』における呼び鈴の音

c.映画《生きものの記録》から映画《夢》へ

430px-Ikimono_no_kiroku_poster

(東宝製作・配給、1955年、画像は「ウィキペディア」より)。

 

Ⅱ. 長編小説『罪と罰』における個人と都市の空間(教科書、24~25頁)

 a.『罪と罰』の出だしの文章

b.新首都――ペテルブルグ

c.都市の「二重性」の指摘

The_Bronze_Horseman

 (図版はプーシキンの叙事詩『青銅の騎士』のモデルとなった「ピョートル大帝の騎馬像」、「ウィキペディア」より© by James G. Howes)

 

Ⅲ、『若きヴェルテルの悩み』(1774年)から『罪と罰』(1866年)

a.『若きヴェルテルの悩み』と書簡体形式の小説

800px-Goethe_Schiller_Weimar_3

(ワイマールに立つゲーテとシラーの像、写真は「ウィキペディア」より)

b.『若きヴェルテルの悩み』がその後の文学に与えた影響

c.最初の手紙 (5月4日)

d.『若きヴェルテルの悩み』の影響

e.近代における個人の自由の拡大と「自己」の確立

f.アイデンティティ・クライシス――「自己認識の危機」

3-3、都市と犯罪――『オリヴァー・トゥイスト』から『罪と罰』へ

3-4、家庭教師という職業――『罪と罰』とコナン・ドイルの『ソア橋』

3-5、長編小説『罪と罰』の構造と映画《罪と罰》

3-6、「完全犯罪」の試みと「正義」の犯罪(ドストエフスキーとポー)

3-7、貴族と農村――『エヴゲーニイ・オネーギン』から『罪と罰』へ(1)

3-8、タチヤーナの「夢」と「やせ馬の殺される夢」――『エヴゲーニイ・オネーギン』から『罪と罰』へ(2)

3-9、論理と感情(身体)の問題――「謎としての自己」

3-10、ラズミーヒンという若者――『罪と罰』とユゴーの『レ・ミゼラブル』

3-11、日本における『レ・ミゼラブル』と『罪と罰』の受容

3-12、ドゥーニャの婚約者ルージン――弁護士という職業

3-13、『レ・ミゼラブル』のファンティーヌからマルメラードフの娘ソーニャへ

3-14、弁護士ルージンの経済理論とラスコーリニコフの思想

3-15、『赤と黒』のジュリヤンとラスコーリニコフの「非凡人の思想」

1―16、トルストイ『戦争と平和』(1)――「三帝会戦」と貴族の生活

1―17、「正義の戦争」と「祖国戦争」――『戦争と平和』(2)とレポートの作成について

3―18、死刑の体験と「農民」との出会い――『戦争と平和』(3)と『罪と罰』

死の家の記録』における「権力者」の分析と「民衆芝居」や音楽の描写

a.「大改革」の時代と『死の家の記録』

287-8

(表紙の図版はオムスクの監獄)

b.『死の家の記録』における「体刑」の考察

c.「囚人」と「権力者」の分析

d.『死の家の記録』における「民衆芝居」と民衆の音楽性の高いの評価

e.ロシア民謡「一週間」

Balalaika

(「バラライカ」、図版は「ウィキペディア」より)

3―19、「生きていた老婆」の夢と目撃者としての身体――黒澤映画《夢》の第4話「トンネル」

3―20、予審判事ポルフィーリイとの対決――「非凡人の理論」の危険性

3―21、「弱肉強食の思想」と「他者の喪失」――スヴィドリガイロフの孤独

3―22、再生への希望――ソーニャの言葉と「大地への接吻」

3―23、「罪の意識」のない主人公――『クリスマス・キャロル』と『罪と罰』

3―24、流刑地のシベリアで――シベリアの大自然と映画《デルス・ウザーラ》

3-25、小林秀雄の「人類滅亡の悪夢」観と映画《夢》の「赤富士」と「鬼哭」

3-26、大地の重要性――ソーニャの自然観とレイチェル・カーソンの『沈黙の春』

3-27、黒澤映画《夢》の「水車のある村」とラスコーリニコフの「復活」

3-28、「罪」と「復活」というモチーフ――『罪と罰』と島崎藤村の『破戒』

3-29、「鬱蒼たる森」と「大地との絆」――《風の谷のナウシカ》と『罪と罰』

3-30、地球という惑星――映画《惑星ソラリス》における『罪と罰』のテーマ

 

 

講座  『坂の上の雲』の時代と『罪と罰』の受容

「憲法」のない帝政ロシアで1866年に書かれたドストエフスキーの『罪と罰』は、発表されてから今年で150年を迎えます。日本人が初めてこの作品を目にしたのは、司馬遼太郎氏が俳人・正岡子規(1867-1902)を主人公の一人として描いた長編小説『坂の上の雲』の時代でした。

注目したいのは、自分が編集主任をしていた新聞『小日本』に日清戦争の直前に自殺した文芸評論家・北村透谷(1868-1894)の追悼記事を掲載した正岡子規が、透谷を主人公の一人とした長編小説『春』(1908)を書くことになる島崎藤村(1872-1943)とも会っていたことです。

しかも、子規は『レ・ミゼラブル』(1862)の部分訳も行っていたのですが、透谷も「罪と罰(内田不知庵訳)」(1892)という書評で、ドストエフスキーが「彼の思想は十九世紀のあらゆる芸術の基本的な思想」と高く評価していたユゴーの『レ・ミゼラブル』にも言及していたのです。

子規が畏友と呼んだ夏目漱石(1867-1916)は、『罪と罰』からの影響が強く見られる島崎藤村の長編小説『破戒』(1906)を「明治の小説として後世に伝ふべき名篇也」と激賞しています。

本講座では彼等の生きた明治の状況を注視することにより、『罪と罰』が日本の近代文学に与えた深い影響と現代的な意義についてお話できればと考えています。

(講師からのメッセージ)

*   *   *

講  師  : 高橋誠一郎氏 (元東海大学教授、比較文学者)

日  時  : 平成28年3月4日(金) 午後2時~4時

場  所  : 世田谷文学館 2階 講義室

参 加 費  : 700円

申込締切日 : 平成28年2月16日(火)必着

(応募者多数の場合は抽選)

世田谷文学館友の会・おしらせ123号(H28年1月21日発行)より転載>

 

2-10、「安全保障関連法案に反対する学者の会」のアピール

header

リンク→http://anti-security-related-bill.jp

安倍晋三政権が国会に提出した「国際平和支援法」と10本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」に反対するアピールを、学者・研究者が連名で発表しました。 これに賛同する署名活動をおこなっています。 寄せられた署名は、当ホームページで公開し、記者会見でも発表します。 国会議員にも届ける予定です。メールやSNSなどで拡散いただければ幸いです。

  *   *   *

「戦争する国」へすすむ安全保障関連法案に反対します

「戦争しない国」から「戦争する国」へ、戦後70年の今、私たちは重大な岐路に立っています。安倍晋三政権は新法の「国際平和支援法」と10本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」を国会に提出し、審議が行われています。これらの法案は、アメリカなど他国が海外で行う軍事行動に、日本の自衛隊が協力し加担していくものであり、憲法九条に違反しています。私たちは憲法に基づき、国会が徹底審議をつくし、廃案とすることを強く求めます。 法案は、①日本が攻撃を受けていなくても他国が攻撃を受けて、政府が「存立危機事態」と判断すれば武力行使を可能にし、②米軍等が行う戦争に、世界のどこへでも日本の自衛隊が出て行き、戦闘現場近くで「協力支援活動」をする、③米軍等の「武器等防護」という理由で、平時から同盟軍として自衛隊が活動し、任務遂行のための武器使用を認めるものです。 安倍首相の言う「武力行使は限定的なもの」であるどころか、自衛隊の武力行使を際限なく広げ、「専守防衛」の建前に反することになります。武器を使用すれば、その場は交戦状態となり、憲法九条一項違反の「武力行使」となることは明らかです。60年以上にわたって積み重ねられてきた「集団的自衛権の行使は憲法違反」という政府解釈を安倍政権が覆したことで、米国の侵略戦争に日本の自衛隊が参戦する可能性さえ生じます。日本が戦争当事国となり、自衛隊が国際法違反の「侵略軍」となる危険性が現実のものとなります。 私たちは、かつて日本が行った侵略戦争に、多くの学徒を戦地へ送ったという、大学の戦争協力の痛恨の歴史を担っています。その歴史への深い反省から、憲法九条とともに歩み、世界平和の礎たらんと教育研究活動にたずさわり、再び戦争の惨禍を到来させないようにしてきました。二度と再び、若者を戦地に送り、殺し殺される状況にさらすことを認めることはできません。 私たちは、学問と良識の名において、違憲性のある安全保障関連法案が国会に提出され審議されていることに強く抗議し、それらの法案に断固として反対します。 2015年6月 安全保障関連法案に反対する学者の会   呼びかけ人(五十音順)

  • 青井 未帆 (学習院大学教授 法学)
  • 浅倉 むつ子 (早稲田大学教授 法学)
  • 淡路 剛久 (立教大学名誉教授・弁護士 民法・環境法)
  • 池内 了 (名古屋大学名誉教授 宇宙物理学)
  • 石田 英敬 (東京大学教授 記号学・メディア論)
  • 市野川容孝 (東京大学教授 社会学)
  • 伊藤 誠 (東京大学名誉教授 経済学)
  • 上田 誠也 (東京大学名誉教授 地球物理学/日本学士院会員)
  • 上野 健爾 (京都大学名誉教授 数学)
  • 上野 千鶴子 (東京大学名誉教授 社会学)
  • 鵜飼 哲 (一橋大学教授 フランス文学・フランス思想)
  • 内田 樹 (神戸女学院大学名誉教授 哲学)
  • 内海 愛子 (恵泉女学園大学名誉教授 日本-アジア関係論)
  • 宇野 重規 (東京大学教授 政治思想史)
  • 大澤 眞理 (東京大学教授 社会政策)
  • 岡野 八代 (同志社大学教授 西洋政治思想史・フェミニズム理論)
  • 小熊 英二 (慶應大学教授 歴史社会学)
  • 戒能 通厚 (早稲田大学名誉教授 法学)
  • 海部 宣男 (国立天文台名誉教授 天文学)
  • 加藤 節 (成蹊大学名誉教授 政治哲学)
  • 金子 勝 (慶応義塾大学教授 財政学)
  • 川本 隆史 (国際基督教大学教授 社会倫理学)
  • 君島 東彦 (立命館大学教授 憲法学・平和学)
  • 久保 亨 (信州大学教授 歴史学)
  • 栗原 彬 (立教大学名誉教授 政治社会学)
  • 小林 節 (慶應義塾大学名誉教授 憲法学)
  • 小森 陽一 (東京大学教授 日本近代文学)
  • 齊藤 純一 (早稲田大学教授 政治学)
  • 酒井 啓子 (千葉大学教授 イラク政治研究)
  • 佐藤 学 (学習院大学教授 教育学)
  • 島薗 進 (上智大学教授 宗教学)
  • 杉田 敦 (法政大学教授 政治学)
  • 高橋 哲哉 (東京大学教授 哲学)
  • 高山 佳奈子 (京都大学教授 法学)
  • 千葉 眞 (国際基督教大学特任教授 政治思想)
  • 中塚 明 (奈良女子大学名誉教授 日本近代史)
  • 永田 和宏 (京都大学名誉教授・京都産業大学教授 細胞生物学)
  • 西川 潤 (早稲田大学名誉教授 国際経済学・開発経済学)
  • 西崎 文子 (東京大学教授 歴史学)
  • 西谷 修 (立教大学特任教授 哲学・思想史)
  • 野田 正彰 (精神病理学者 精神病理学)
  • 浜 矩子 (同志社大学教授 国際経済)
  • 樋口 陽一 (憲法学者 法学/日本学士院会員)
  • 広田 照幸 (日本大学教授 教育学)
  • 廣渡 清吾 (専修大学教授 法学/日本学術会議前会長)
  • 堀尾 輝久 (東京大学名誉教授 教育学)
  • 益川 敏英 (京都大学名誉教授 物理学/ノーベル賞受賞者)
  • 間宮 陽介 (青山学院大学特任教授 経済学)
  • 三島 憲一 (大阪大学名誉教授 哲学・思想史)
  • 水島 朝穂 (早稲田大学教授 憲法学)
  • 水野 和夫 (日本大学教授 経済学)
  • 宮本 憲一 (大阪市立大学名誉教授 経済学)
  • 宮本 久雄 (東京大学名誉教授・純心大学教授 哲学)
  • 山口 二郎 (法政大学教授 政治学)
  • 山室 信一 (京都大学教授 政治学)
  • 横湯 園子 (前中央大学教授・元北海道大学教授 臨床心理学)
  • 吉岡 斉 (九州大学教授 科学史)
  • 吉田 裕 (一橋大学教授 日本史)
  • 鷲谷 いづみ (中央大学教授 保全生態学)
  • 渡辺 治 (一橋大学名誉教授 政治学・憲法学)
  • 和田 春樹 (東京大学名誉教授 歴史学)

2-9、「藝術座100年」を記念したイベント(2015年)のお知らせ

第1部「ゴンドラの唄百年」 平成27年7月11日(土)14:00開演(13:30開場) 牛込箪笥区民センター4階コンドル(一昨年2013年の催しと同じ場所です) 2,000円 百年後の現代まで歌い継がれている 「ゴンドラの唄」が、どのようなシーンで受け継 がれてきたのか、幅広く検証して考察します。 また、音楽会では、「カチューシャの唄」「ゴンドラの唄」「さすらいの唄」をはじめ 、中山晋平作曲の童謡、竹久夢二作詞作曲の「宵待草」などを歌います。観客の皆様と ご一緒に歌う歌もご用意しました。 講演「ゴンドラの唄百年」  相沢直樹(山形大学教授) 音楽会「芸術座劇中歌と懐かしい唄」 吉成文乃(メゾソプラノ)/田ノ岡三郎(アコーディオン) 第2部「映画と須磨子像」 平成27年9月12日土14:00開演(13:30開場) 牛込箪笥区民ホール 1,000円 昭和22年公開の松竹映画「女優須磨子の恋」(溝口健二×田中絹代 の名コンビ)を懐 かしい16mmフィルムで上映します。(96分) 講演では、歌舞伎について数々の名著のある渡辺保氏が、新劇の女優、松井須磨子像に ついて語ります。明治末から大正にかけて歌舞伎のつよい呪縛にとらわれていた演劇界 から、真に「女優」として出現した松井須磨子の果たした役割とその意味についてさぐ ります。 映画「女優須磨子の恋」(溝口健二監督作品)上映 講演「女優としての松井須磨子」 渡辺保(演劇評論家)