*新刊
『「罪と罰」の受容と「立憲主義」の危機 北村透谷から島崎藤村へ
〔四六判上製/224頁/2000円/2019年2月〕
成文社 http://www.seibunsha.net/books/ISBN978-4-86520-031-7.htm
〔青春時代に「憲法」を獲得した明治の文学者たちの視点で、「憲法」のない帝政ロシアで書かれ、権力と自由の問題に肉薄した『罪と罰』を読み解き、島崎藤村の『破戒』や『夜明け前』との関連に迫る。
〔さらに、「教育勅語」渙発後の北村透谷たちの『文学界』と徳富蘇峰の『国民の友』との激しい論争などをとおして「立憲主義」が崩壊する過程を考察し、蘇峰の英雄観を受け継いだ小林秀雄の『罪と罰』論の危険性を明らかにする。〕
目次
第一章 「古代復帰の夢想」と「維新」という幻想――『夜明け前』を読み直す
第二章 一九世紀のグローバリズムと日露の近代化――ドストエフスキーと徳富蘇峰
第三章 透谷の『罪と罰』観と明治の「史観」論争――徳富蘇峰の影
第四章 明治の『文学界』と『罪と罰』の受容の深化
第五章 『罪と罰』で『破戒』を読み解く――差別と「良心」の考察
第六章 『罪と罰』の新解釈とよみがえる「神国思想」――徳富蘇峰から小林秀雄へ
注
あとがきに代えて 「明治維新」一五〇年と「立憲主義」の危機
初出一覧
参考文献
本書関連の主な著書と編著:
『黒澤明と小林秀雄――「罪と罰」をめぐる静かなる決闘』(成文社、2014年)、『黒澤明で「白痴」を読み解く』(成文社、2011年)、『ロシアの近代化と若きドストエフスキー ――「祖国戦争」からクリミア戦争へ』(成文社、2007年)、『ドストエフスキイ「地下室の手記」を読む』(リチャード・ピース著、池田和彦訳、高橋誠一郎編、のべる出版企画、2006年)、『欧化と国粋――日露の「文明開化」とドストエフスキー』(刀水書房、2002年)、『「罪と罰」を読む(新版)――〈知〉の危機とドストエフスキー』(刀水書房、2000年)