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李下に冠を正さず――ワイドショーとコメンテーター

李下に冠を正さず――ワイドショーとコメンテーター

国会前のデモで強い雨に打たれながら「戦争法案」に反対の声を上げられている方々に深い敬意と連帯の挨拶をお送りします。

ここのところ体調がすぐれなかったために参加することが出来ませんでしたが、新聞記者でもあった俳人・正岡子規の「写生の精神」に光をあてて『坂の上の雲』を読み解く著書を書き終えたところでもあり、今回の国会審議や昨日の地方公聴会、さらには国会前の抗議活動がどのように報じられているかに強い関心を持って「ワイド!スクランブル」や「ひるおび」などの昼のワイドショーを次々とチャンネルをかえながら視聴していました。

それゆえ、全部の番組を見たわけではないのですが、驚かされたのは「ワイド!スクランブル」で、研究者でもあるコメンテーターの中野信子氏が野党側が抵抗する映像に、「みっともない」と激しく叱りつけて「きちんと審議すべきです」と批判していたことです。たしかに映されている画面のみから判断するとそのようにも見えるかも知れませんが、放送の公平性を重視するならば、こわれたレコードのように同じ答弁を繰り返すばかりでなく、自席から何度もヤジを飛ばして、その都度、鴻池委員長から注意されては撤回していた安倍首相の「みっともなさ」にも言及すべきだったでしょう。

その後すぐに「ひるおび」を見たのですが、そこでは与党の審議方法に強い疑問を投げ掛けた室井佑月氏に対してコメンテーターの田崎史郎氏が、安倍内閣は前回の選挙に際して今度の「安保法案」を公約として掲げていたので、その時にきちんと論じようとしなかった野党の方に問題があると懸命に安倍政権をかばっていました。

その後、ツイッターを見ていたところフリーランス編集者の鈴木耕氏が、この放送を見て「田崎氏は懸命に安倍の代弁。室井さんの話をやたら遮る。ひどいもんだ。御用記者の典型…」と記しているのに気づきました。

メディア戦略を重要視しているとされる安倍首相と報道関係者らとの会食が「歴代首相の中でも突出した頻度で」行われていることを問題にした山本太郎議員が参議院議長に提出した「質問主意書」によれば、時事通信の田崎史郎解説委員が突出した回数で会食に招かれていたことも判明しました。

ワイドショーのコメンテーターは視聴者への強い影響力をもっています。視聴者からのあらぬ疑いを招かぬためにも、コメンテーターには「李下に冠を正さず」の精神が求められるでしょう。

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