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リメンバー、9.17(3)――「安保関連法」の成立と「防衛装備庁」の発足

リメンバー、9.17(3)――「安保関連法」の成立と「防衛装備庁」の発足

「安保関連法案」が「戦争法案」と呼ばれることを極端に嫌っていた安倍晋三氏は、国会での審議の際にもたびたび「レッテル貼り」と野党を批判していました。

しかし、「安保関連法案」が参議院で可決される前に、すでに経団連は「防衛産業を国家戦略として推進すべきだ」とする提言をまとめ、「新たに発足する防衛装備庁に対して、(1)装備品に関する適正な予算を確保し、人員の充実を図る(2)関係省庁を含めた官民による緊密な連携を基に、装備品や技術の海外移転の仕組みを構築する」などを具体的に要求していました。

リンク「安保法制」成立は防衛ビジネスのビッグチャンス 経団連のあからさまな(J-CASTニュース-2015/09/28)

こうして安倍政権下で発足した「防衛装備庁」について、「東京新聞」は〈「平和」名目に武器輸出促進〉という副題をつけた10月1日の夕刊記事で、「相手国が日本の事前同意なしに再輸出したり目的外使用したりする事例を認めており、日本製の武器や部品が知らない間に紛争地で使われる余地がある」だけでなく、「武器に関する権限が集中して防衛企業との関係が密接になり、汚職の温床になるとの指摘もある」と記し、さらにこの庁の発足が「軍拡競争」を助長する恐れについても次のように詳しく説明しています。

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防衛装備庁の設置は、安倍政権が「積極的平和主義」を名目に、海外への武器輸出に関する厳しいルールを緩和したのに合わせた対応だ。輸出促進だけでなく、軍事技術の面でも米国やオーストラリア、欧州諸国と共同開発などの連携を深める目的がある。自衛隊の海外活動の範囲を飛躍的に拡大させる安全保障関連法と連動しており、平和国家としてのこれまでの歩みと逆行する。

武器輸出解禁の背景には、経済界からの強い要請もある。武器や装備品の開発・生産企業は、同時に原発やインフラの海外輸出を行う企業が中心。海外で競争が激化する中、武器や装備品の部品などの輸出、他国との共同開発を増やすことで、体力や利益を高めたい思惑からだ。

安倍政権は、武器輸出拡大も成長戦略の一部だと主張する。だが、利益優先の武器輸出促進は安保法に盛り込んだ集団的自衛権行使容認や他国軍の支援などとともに、敵国とみなされた国々の警戒感を高め「軍拡競争」を助長しかねない。

防衛省は過去、官製談合事件を起こし、旧防衛施設庁を廃止した経緯がある。名称を変えて役所を「復活」させ、再び組織が肥大化することは、防衛産業との新たな癒着を生む危険性もはらんでいる。 (中根政人)

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これらの出来事は「安保関連法案」の実態が「戦争法案」であったことを雄弁に物語っているでしょう。

このブログでは、明治7年の台湾出兵や明治10年の西南戦争などでは利益をあげ、巨万の財を築くことになる政商・岩崎弥太郎を語り手とした大河ドラマ《龍馬伝》(2010)が、安倍政権の政策を宣伝する広報的な性格を強く持っていることを指摘してきました。

リンク→大河ドラマ《龍馬伝》と「武器輸出三原則」の見直し

リンク→大河ドラマ《龍馬伝》の再放送とナショナリズムの危険性

「J-CASTニュース」は、今回の「安保関連法」の成立を「三菱重工業など日本を代表する防衛産業が、安保法案の成立をビジネスチャンス拡大の好機ととらえている」との指摘をしています。

しかし、それは目先の利益に惑わされた軽薄な見方といわねばならないでしょう。帝政ロシアや大日本帝国の歴史が物語っているように、軍事費の増大は一部の政治家と防衛産業に一時的には莫大な利益をもたらすことはあっても国民は増税に苦しめられて貧しくなり、最終的には国家の破綻につながる危険性が大きいのです。

被爆という世界で初めての悲劇を経験した国民や与野党の議員が70年間の長い時間をかけて定着させてきた「平和国家」としての日本のイメージを、クーデター的な方法で破壊した危険な安倍政権に代わる政権を一日も早く打ち立てる必要があるでしょう。

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