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原発事故の「責任者」は誰か――「無責任体質」の復活(3)

原発事故の「責任者」は誰か――「無責任体質」の復活(3)

Earthquake and Tsunami damage-Dai Ichi Power Plant, Japan

(2011年3月16日撮影:左から4号機、3号機、2号機、1号機、写真は「ウィキペディア」より)

 

原発事故の「責任者」は誰か――「無責任体質」の復活(3)

「新国立」や「TPP」の問題で、国民の多くが反対し、「憲法」にも違反している可能性が高い「戦争法案」(自称「安全保障関連法案」)を強行採決した安倍政権の無責任さを浮き彫りにする判決が7月31日に出ました。

まず、東電の勝俣恒久元会長(75)、武藤栄(さかえ)元副社長(65)と、武黒(たけくろ)一郎元副社長(69)の三人について業務上過失致死傷罪で起訴すべきとした東京第五検察審査会の議決の概要を8月1日付けの「東京新聞」朝刊によって確認したあとで、原発事故の真の「責任者」に迫りたいと思います(太字は引用者)。

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検審は議決で、「原発事業者は『万が一にも』発生する津波、災害にも備えなければならない高度な注意義務を負う」と指摘。勝俣元会長らを「福島第一原発に高さ一五・七メートルの津波が襲う可能性があるとの試算結果の報告を、遅くとも〇九年六月までに受けたが、必要な措置を怠り、津波による浸水で重大な事故を発生させた」とした。

東電は〇七年七月に柏崎刈羽原発事故などを経験し、原発が浸水すれば電源を失って重大事故が起きる危険性を把握していたとも指摘。勝俣元会長らは福島第一原発でも地震と津波による事故発生を予測でき、運転停止や防潮堤の建設などの対策を取れば、事故を避けられたと結論づけた。

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「原発事故」を引き起こしたこれらの経営者の責任がきちんと問われたことはよかったのですが、問題の根ははるかに深いようです。昨年の3月15日に行われた日本ペンクラブの「脱原発を考えるペンクラブの集い part4」 では事故当時の最高責任者・菅直人氏を講演者に招いて、「福島原発事故」の実態に迫ろうとしました。

その時に明らかになったことについては、ブログ記事に記しましたが、そこではこの原発事故と安倍首相との関わりには触れていませんでした。リンク→〈真実を語ったのは誰か――「日本ペンクラブ脱原発の集い」に参加して

2006年12月13日に行われた参議院における吉井英勝議員と安倍首相の原発事故防止関連の質疑応答については、すでにいくつもの記事が書かれていますが、今回は「首相がデマを流していいのか?」と題されたサイト「文芸ジャンキー・パラダイス」の2013年7月12日の記述によって紹介しておきます(http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/column15.html)。

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2006年参院/質疑応答の要約

吉井英勝議員「海外(スウェーデン)では二重のバックアップ電源を喪失した事故もあるが日本は大丈夫なのか」/安倍首相「海外とは原発の構造が違う。日本の原発で同様の事態が発生するとは考えられない」

吉井議員「冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか」/ 安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「冷却に失敗し各燃料棒が焼損した(溶け落ちた)場合の想定をしているのか」/ 安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測を教えて欲しい」 /安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「総ての発電設備について、データ偽造が行われた期間と虚偽報告の経過を教えて欲しい」/ 安倍首相「調査、整理等の作業が膨大なものになることから答えることは困難」

吉井議員「これだけデータ偽造が繰り返されているのに、なぜ国はそうしたことを長期にわたって見逃してきたのか」/ 安倍首相「質問の意図が分からないので答えることが困難。とにかくそうならないよう万全の態勢を整えている」

関連記事→http://goo.gl/1Vw5wI 

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最近の国会で安倍首相が、「国民の生命」にも関わる「安全保障関連法案」についての質疑で、「壊れたレコードのように」まったく同じ台詞で答弁していることには呆れて、このような人物が日本国の「総理大臣」であることを恥ずかしく感じることが多いのですが、実は、2006年の参議院での質疑応答でも同じ台詞を繰り返していたのです。

しかし、「そうならないよう万全の態勢を整えている」ならば、チェルノブイリ原発事故と同じ規模でいまだに収束していない福島第一原子力発電所事故は、なぜ起きたのでしょうか。

いずれ詳しく考察したいと思いますが、最近、大きく報じられた「東芝」の粉飾決算にも新しい経営陣が大きく踏み込んだ「原発事業」が大きく関わっていたことが明らかになってきました。

これらのことも「国策」ということで「国民」の眼からは隠されてきたのだと思えます。現在の「安全保障関連法案」だけでなく、「原発事故」にも深く関わっている安倍首相の責任はきわめて大きいと言わねばならないでしょう。

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