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「安全保障関連法案」の危険性――「国民の生命」の軽視と歴史認識の欠如

「安全保障関連法案」の危険性――「国民の生命」の軽視と歴史認識の欠如

〈「安全保障関連法案に反対する学者の会」のアピールを「新着情報」に掲載〉と題した短い記事を、先ほどブログに書きましたので、ここでは「呼びかけ人」のコメントを紹介します。

小林 節(慶應義塾大学名誉教授・  憲法学)氏は、次のようなコメントを添えています。

「この法案は憲法に違反して、自衛隊を米軍の二軍にするものです。これを許せばわが国は立憲国家でなくなり、専制が始まり、世界中に敵が出来、かえって安全でなくなり、戦費で経済的に疲弊し、要するに希代の愚策です。」

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非常に厳しい意見ですが、私も以下のような理由からほぼ同感です。

1,今回の法案は日本の国会で議論される前にアメリカの議会で報告された、国民と国会を軽視した法案であること。

2,自衛隊を海外に派兵するには、テロリストと呼ばれるイスラムの過激派がなぜ生まれたのかという歴史的な背景をきちんと自衛隊員に教える必要があること。そのような歴史の理解を欠いた形で派兵されて戦うことになる自衛隊員や日本は、アメリカ軍の単なる傭兵や従属国のようにみなされて、より強い憎しみの対象になると思われる。

3,安倍政権の政策は兵器輸出をめざす企業などの利益を一時的にはもたらすが、長い目で見ると、戦費や次に挙げるテロ対策費などで国家財政が疲弊することになる。

4,日本でもかなり以前から不審物に対する注意が交通機関などで行われるようになってきている。しかし、6月30日に起きた新幹線放火自殺事件が、明らかにしたように、新幹線やその過密な運行システムは基本的には平和な日本だから成立している。

一方、自国や自民族が侮辱されていると考え、圧倒的な兵力の差から自らの命を犠牲にして行われる自殺テロを防ぐためには、新幹線の乗客の身体や荷物に対する徹底した検査が必要である。「安全保障関連法案」は、活発な商業活動や外国からの観光客などを増やそうとする政策を否定するものである。

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政治や経済には素人の私の考えなので、むろん反論や批判もありうると思います。しかし、今回の法案は日本の70年の歴史を覆すだけでなく、国民の生命や経済にも深くかかわっています。その法案を「国会の議席数」をたてに「国民」の考えを尊重せずに、現在のような形で強引に通すことは、将来に深い禍根をもたらすものと思われます。

なお、原水爆の危険性を軽視した岸信介政権と同じように、原水爆だけでなく原発の問題も軽視している安倍晋三政権の危険性については、別の機会に改めて論じたいと思います。

リンク→http://anti-security-related-bill.jp

(2015年7月5日、〈新幹線放火自殺事件と「安全保障関連法案」の危険性〉より改題)

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