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「広島原爆の日」と映画《モスラ》の「反核」の理念

「広島原爆の日」と映画《モスラ》の「反核」の理念

69回目の「広島原爆の日」の今日、広島市中区の平和記念公園では平和記念式典が営まれました。

以下に「東京新聞」によって、その式典の式辞の内容を振り返っておきます。

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「松井市長は原爆を「子どもたちから温かい家族の愛情や未来の夢を奪った『絶対悪』」と強調。武力ではなく、未来志向の対話が重要だとし「被爆者の人生を自身のこととして考え、行動を」と呼び掛け、政府に対しても「名実ともに平和国家の道」を歩み続けるように求め、被爆地として核兵器廃絶への積極的な取り組みをあらためて世界に訴えた」。

 その一方で、「大きな議論を巻き起こした集団的自衛権行使容認には直接言及せず」、「東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が発生した二〇一一年から、毎年述べてきた被災地への思いや原発、エネルギー政策にも触れなかった」。

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それは「広島原爆の日」の前日にあたる昨日、これまでは「集団的自衛権行使について『憲法九条で許容される範囲を超えるものであり、許されない』と明記」されてきた「項目を削除」し、「集団的自衛権」を高らかに主張した安倍内閣の「防衛白書」に配慮したためだと思える。

すなわち、「小野寺五典防衛相は五日の閣議で、二〇一四年版防衛白書を報告した」が、そこでは「集団的自衛権行使を容認した七月一日の閣議決定について『わが国の平和と安全を一層確かなものにしていくうえで、歴史的な重要性を持つ』と強調され」、さらに、「日本と密接な関係にある他国へ武力攻撃が発生し、国民の生命、権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、必要最小限度の武力行使が許されるとした新たな三要件」が明記されていた。

 「さらに、半世紀近く武器や関連技術の海外提供を原則禁止してきた武器輸出三原則を廃止し、輸出を解禁した防衛装備移転三原則も紹介。国内の軍需産業の振興に向けて、米国などとの武器の共同開発を積極的に進め、軍事的な連携を強化する方針も盛り込んだ」この白書は、「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していると説明」し、具体的に中国などを名指しして批判していた(「東京新聞」8月5日夕刊)。

このような「軍事同盟」や「憲法」軽視の危険性については、日露戦争を詳しく分析した司馬遼太郎氏の『坂の上の雲』を読み解くことで明らかにしたいと考えています(近刊『司馬遼太郎の視線(まなざし)――「坂の上の雲」と子規と』仮題、人文書館)。

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映画《ゴジラ》をめぐる対話で「核戦争の危機」について触れつつ、本多監督は「これを何とか話し合いができるようなところへね、ゴジラが出てこなきゃいけない。僕はそういうものがね、作品として描けるようになるならね、思いきって作りたいですけれども(後略)」と語っていました。

そのような思いで製作された映画《モスラ》(1961年)の理念を受け継いでいると思える《ゴジラ vs モスラ》が、昨日、テレビ東京で放映されました。その感想などを、映画《ゴジラ》考――「ゴジラ」の怒りと「核戦争」の恐怖 の第三回目として、近いうちにアップしたいと思います。

 リンク先→映画《モスラ》と「反核」の理念

    (8月8日、リンク先を追加)

 

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