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司馬作品で安倍元首相の危険な国家観を糺す

 司馬遼太郎氏が亡くなられた後で起きたいわゆる「司馬史観」論争では、「#日本会議」系の論者が、対立する歴史家の見方を「自虐史観」と名づけ、司馬氏の歴史観とは正反対の見方を安倍元首相などの政治家が全面的に応援して広めた。

 しかし、司馬氏は坂本竜馬をテロリズムの批判者として描いた『竜馬がゆく』において、自分の言葉で「神国思想」や「維新」の理念をこう批判していたのである。

 幕末の「神国思想」が「国定国史教科書の史観」となり、「その狂信的な流れは昭和になって、昭和維新を信ずる妄想グループにひきつがれ、ついに大東亜戦争をひきおこして、国を惨憺(さんたん)たる荒廃におとし入れた」(「勝海舟」『竜馬がゆく』)。

 「天誅」という名のテロが横行した「明治維新」を無条件に賛美することは日本社会の右傾化を促して、2・26事件から太平洋戦争に至る流れを繰り返す危険があった。

 実際、安倍元首相などの意向に沿ってNHKの大河ドラマなどで「維新」が美しく描かれたことや、「#日本会議」系の論客たちの理論に立脚して物語を創作した『永遠の0』がヒットしたことは、日韓関係の緊張や現在の「憲法」問題につながっていると思える。

 劇作家の井上ひさし氏や憲法学者の樋口陽一氏は、司馬氏の歴史観に深い理解を示していたが、司馬氏の歴史観を右翼的な立場から賛美した「司馬史観」論争以降は大幅に説得力を減じて、改めて論じることには無力感も覚える。

 だが、日本が危機に瀕している現在、あきらめずに論じることにする。ここでは安倍元首相の国家観を論じたツイートの後で、その危険性を指摘していた司馬遼太郎の「明治国家観」、「昭和国家観」、「沖縄観」、「韓国観」の順番に掲載する。

 結論 日露戦争の美化から太平洋戦争へ