
ロシアと日本の近代化の類似性に注目して司馬遼太郎の2・26事件観にふれていた「司馬遼太郎のドストエフスキー観」(『ドストエーフスキイ広場』第12号、2003年)を、旧かなづかいと旧字を現代の表記に改めるなど文体を一部修正し 、 註を本文中の()内に記す形で再掲する。
なぜならば、堀田善衞の『若き日の詩人たちの肖像』にも言及していた本稿は、追記の形でふれたように三島由紀夫の軍神化の危険性をも視野に入れて書かれており、再び戦前のように軍拡を急ぐ現在の日本とプーチンのロシアとの類似性と危険性をも示唆していたからである。
⇒司馬遼太郎のドストエフスキー観 ――満州の幻影とぺテルブルクの幻影
なお、論文は以下の各節から成り立っている。
一、昭和初期の「別国」とニコライ一世の「暗果の三〇年」
二、日露戦争の考察と近代化の問題点の認識
三、「父親殺し」のテーマと昭和初期の「別国」視
四、「教育勅語」と「ウヴァ一ロフの通達」
五、「大地主義」と「『公』としての地球」――「人類滅亡の悪夢」とその克服
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