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第5福竜丸

年表9、『ゴジラの哀しみ』関連年表(「原水爆実験」と「原発事故」、それに関わる映画を中心に)

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(↑ 画像をクリックで拡大できます ↑)

  ゴジラの哀しみ』関連年表(1936~2016)

(〔〕内に原水爆実験や原発事故など大きな出来事を、【】内には著書や映画の発表年を記す。また、1947年以降は、世界終末時計の時刻も年号の後に示す*)。

1936年:〔2・26事件が起こる〕。【堀辰雄『風立ちぬ』の執筆開始。堀越二郎、九試単座戦闘機制式採用】。

1937年:〔日中戦争始まる〕。【文部省『国体の本義』発刊】。

1939年:〔9月、ドイツ軍がポーランド侵攻。第2次世界大戦始まる〕。【解説書『我が国体と神道』発刊】。

1940年:〔9月、日独伊3国同盟が結ばれる〕。【9月、小林秀雄、書評「ヒットラアの『我が闘争』」、10月、林房雄、鼎談「英雄を語る」で一億玉砕に言及】。

1941年:〔12月、真珠湾攻撃、太平洋戦争が始まる(~1945)〕。【堀辰雄『菜穂子』発表】。

1942年:〔6月、ミッドウェー海戦。8月、ガダルカナル島の戦い(~12月)〕。

1943年:〔10月、学徒動員〕。

1944年:〔10月、「神風特別攻撃隊」による特攻が行われる。アメリカ軍の爆撃が激化〕。

1945年:〔2月、硫黄島の戦い(~3月)。

3月、沖縄戦が始まる(~6月)。4月、戦艦大和、撃沈。8月6日、広島に原子爆弾、8月9日、長崎に原爆投下される。 800px-Atomic_cloud_over_Hiroshima220px-Nagasakibomb

(広島に投下されたウラン型原子爆弾「リトルボーイ」と長崎に投下されたプルトニウム型原爆「ファットマン」によるキノコ雲。以下、図版はいずれも「ウィキペディア」による)

〔8月14日、日本、ポツダム宣言受諾。深夜、戦争の続行を願う陸軍省の将校と近衛師団参謀たちによる宮城事件。15日、玉音放送〕。

1946年:〔第90回帝国議会の審議を経て、11月3日に日本国憲法が公布される〕。

1947年世界終末時計が7分前。〔5月3日、日本国憲法施行〕。

Enforcement_of_new_Constitution_stamp(←画像をクリックで拡大できます)

(日本国憲法施行記念切手、図版は「ウィキペディア」より)

1948年:7分前【8月、小林秀雄、湯川秀樹との対談「人間の進歩について」で核エネルギーの危険性を指摘】。

1949年:3分前〔ソ連が核実験に成功〕。【黒澤明監督の映画《野良犬》公開】。

1950年:3分前〔6月、朝鮮戦争勃発(~53年)〕。

1951年:3分前〔9月、サンフランシスコ講和条約、日米安全保障条約締結〕。

1952年:3分前〔イギリスが原爆実験〕。

1953年:2分前〔アメリカとソ連が水爆実験に成功、アメリカ、「原子力の平和利用」政策を発表〕。

1954年:2分前〔1月、原潜ノーチラス号進水、読売新聞による「ついに太陽をとらえた」とする原発推進の30回にわたる連載。3月1日、アメリカ・キャッスル作戦、ビキニ環礁で行われた水爆「ブラボー」の実験で「第5福竜丸」など被爆。

1280px-Castle_Bravo_Blast(←画像をクリックで拡大できます)

(「キャッスル作戦・ブラボー(ビキニ環礁)」の写真)

〔3月3日、「原子炉予算」として2億円あまり」を計上するという議案が国会に提出され、数日後に成立〕。【4月《7人の侍》公開。9月、映画《生きものの記録》の脚本『死の灰』の執筆を始める。11月、本多猪四郎監督の映画《ゴジラ》公開(→アメリカで再編集された《怪獣王ゴジラ》の公開は1956年)】。

ゴジラ

(製作: Toho Company Ltd. (東宝株式会社) © 1954。図版は露語版「ウィキペディア」より)

1955年:2分前〔7月、「ラッセル・アインシュタイン宣言」、11月、「原子力平和利用大博覧会」が全国で開催。12月、「原子力基本法」成立〕。【11月、映画《生きものの記録》公開】。

430px-Ikimono_no_kiroku_poster (作成:Toho Company, © 1955、図版は「ウィキペディア」より)

1957年:2分前〔3月、湯川秀樹、原子力委員を辞任、5月、岸信介首相、「『自衛』のためなら核兵器を否定し得ない」と国会で答弁。7月、パグウォッシュ会議開催〕。

1960年:7分前〔1月19日、岸政権は米相互協力及び安全保障条約(新安保条約)に調印し、日本は「アメリカの核の傘」で守られていると主張した。一方、1月27日にソ連は新安保条約を非難して、外国軍隊が撤退しない限り歯舞・色丹は引き渡さないと通告した。2月、フランスが核実験。イスラエルの科学者が同席〕。

1961年 7分前〔ソ連の原子力潜水艦K-19の大事故〕。【7月、映画《モスラ》公開】。

1962年 〔キューバ問題で核戦争の危機。沖縄基地からの核弾頭発射は寸前に回避〕。【司馬遼太郎『竜馬がゆく』(~1966)】。

1963年:12分前〔米ソが部分的核実験禁止条約を締結〕。

1964年:12分前〔中華人民共和国が核実験〕。【4月、映画《モスラ対ゴジラ》公開】。

1965年:12分前【小説『日本のいちばん長い日』発刊】。

1967年:7分前【8月、東宝映画《日本のいちばん長い日》公開】。

1968年:7分前 〔第3次中東戦争、ベトナム戦争、第2次印パ戦争の発生〕。【司馬遼太郎『坂の上の雲』(~72)。4月、映画《猿の惑星》公開】。

1971年:10分前【7月、映画《ゴジラ対ヘドラ》】。

1972年:12分前 〔5月、サンフランシスコ講和条約の後もアメリカの施政下にあった沖縄の返還。米ソが第1次戦略兵器制限条約(SALT)Iと弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM)を締結〕。

1973年:12分前【黒澤、モスクワで映画監督タルコフスキーとともに《惑星ソラリス》を見る。小説『日本沈没』発刊。12月、映画《日本沈没》公開】。

1974年:9分前〔ひとつの弾道ミサイルに複数の核弾頭を搭載する方式のMIRVを米ソ両国が配備、インドが核実験〕。【テレビアニメ《宇宙戦艦ヤマト》放映(~1975)】。

1975年:9分前【8月、映画《デルス・ウザーラ》公開】。 1979年:9分前〔イランでイスラム革命。ソ連軍、アフガニスタン侵攻、アメリカ、スリーマイル島原発事故〕。

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(スリーマイル島の原発事故とハリスバーグでの反核運動)

1980年:7分前〔イラン・イラク戦争(~88年)〕。

1984年:3分前〔米ソ間の軍拡競争が激化〕。【3月、映画《風の谷のナウシカ》。12月、映画《ゴジラ》(1984年版)】

1986年:3分前〔4月、チェルノブイリ原発事故〕。

Chernobylreactor_1(←画像をクリックで拡大できます)

(4号炉の石棺、2006年。Carl Montgomery – Flickr)

【5月、タルコフスキー監督の映画《サクリファイス》公開。映画《夢》の脚本『こんな夢を見た』第1稿脱稿】。

1987年:3分前〔12月、米ソが中距離核戦力全廃条約を締結〕。

1989年:6分前【12月、映画《ゴジラvsビオランテ》公開】。

1990年:10分前〔8月、イラクのクウェート侵攻〕。【5月、映画《夢》公開】。

1991年:17分前〔1月、湾岸戦争。7月、アメリカとソ連が戦略兵器削減条約に署名。12月、ソ連崩壊〕。

1992年:17分前【7月、アニメ映画《紅の豚》公開。11月、鼎談集『時代の風音』発行】。

1994年:17分前【9月、井上ひさしの劇《父と暮せば》初演。12月、映画《ゴジラvsスペースゴジラ》公開】。

1995年:14分前〔12月、高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウムの漏洩による火災事故〕。

1996年:14分前【藤岡信勝「『司馬史観』の説得力」発表。坂本多加雄が『近代日本精神史論』で『大正の青年と帝国の前途』の著者・徳富蘇峰を「巧みな『物語』制作者」と讃美。12月、アメリカ映画《インデペンデンス・デイ》】。

1997年:14分前〔3月、茨城県東海村の動燃でレベル3の原子力事故。「新しい歴史教科書をつくる会」発足。5月、「日本会議」設立。「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」発足〕。【7月、アニメ映画《もののけ姫》公開。小説『少年H』発刊】。

1998年:9分前〔パキスタンが核実験〕。

2001年:9分前〔9月、ニューヨークで同時多発テロ。その後、有志連合諸国によるタリバン政権の攻撃〕。

2002年:7分前〔米国がABM条約からの脱退を宣言。安倍晋三・衆議院議員、講演会で核保有に関して岸元首相の見解を支持〕。

2003年:7分前〔3月、ブッシュ大統領が「報復」の権利を主張して、有志連合諸国によるイラク戦争を開始。大量破壊兵器がないことが判明し、イギリス・ブレア首相は後に辞職。12月、アメリカ映画『ラストサムライ』〕。

2004年:7分前【石原慎太郎・八木秀次が『正論』11月号で対談「『坂の上の雲』をめざして再び歩き出そう」】。

2006年:7分前〔9月、安倍首相、就任表明演説で「戦後レジームからの脱却」を謳う。「イスラム国〕を名乗る過激派集団が活動を活発化させる〕。【8月、百田尚樹が小説『永遠の0(ゼロ)』発行】。

2007年:5分前〔北朝鮮が核実験〕。

2009年:5分前【NHK大河ドラマ《坂の上の雲》(~2011)】

2010年:6分前〔オバマ大統領による核廃絶運動〕。

2011年:6分前〔3月、レベル7の福島第1原子力発電所事故〕。

Earthquake and Tsunami damage-Dai Ichi Power Plant, Japan(←画像をクリックで拡大できます)

(2011年3月16日撮影:左から4号機、3号機、2号機、1号機。)

2012年:5分前〔原発事故と核兵器拡散の危険性が増大。安倍首相再任〕。

2013年:5分前〔「特定秘密保護法案」が強行採決〕。【7月、映画《風立ちぬ》公開。8月、映画《少年H》公開。12月、映画《永遠の0(ゼロ)》公開】。

2014年:5分前〔4月、武器輸出3原則に代わる防衛装備移転3原則を閣議決定〕。【7月、アメリカ映画《GODZILLA ゴジラ》公開】。

2015年:3分前〔8月、安倍首相、終戦70年の談話で「日露戦争」の勝利を強調。9月、「安全保障関連法案」を強行採決〕。【8月、松竹映画《日本のいちばん長い日》公開】。

2016年:3分前〔4月、熊本で震度7の地震。(追加)10月20日、台湾の蔡英文政権が2025年に「原発ゼロ」にすることを閣議決定。10月27日、核兵器禁止条約交渉の開始を求める国連の決議案に日本が反対。11月4日、京都議定書に代わる地球温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」が発効。批准手続きが遅れた日本は正式メンバーとして参加できない〕。【7月、映画《シン・ゴジラ》公開】。 2017年:7月7日、国連本部で核兵器の開発や保有、実験、使用のみならず、核兵器による威嚇も禁止する核兵器禁止条約が加盟国の3分の2近くの122カ国が賛成して採択される。ただし、唯一の被爆国の日本の安倍政権は「不参加」。

核兵器禁止条約 ©共同通信社、「拍手にこたえる被爆者・サーロー節子さん」

*日本への原子爆弾投下から2年後の1947年にアメリカの科学誌『原子力科学者会報』は表紙絵で、核戦争などによる人類の滅亡までの残り時間を「零時まであと何分」という形で示した。1989年からは気候変動による環境破壊なども考慮して時刻が決定されている。 【関連年表は中日新聞社会部編『日米同盟と原発 隠された核の戦後史』(東京新聞)と拙著『黒澤明と小林秀雄――「罪と罰」をめぐる静かなる決闘』(成文社)の巻末に収録した年表を元に、「ウィキペディア」の「世界終末時計」の説明と表、および映画《風立ちぬ》「パンフレット」に収められた堀辰雄と堀越二郎の年表を参考にまとめた】。 (2017年7月16日、加筆)

年表7、黒澤明・小林秀雄関連年表(1902~1998)