高橋誠一郎 公式ホームページ

  比較文学と文明論の研究者です。現在は『「悪霊」と現代日本文学――黙示録的終末論との対峙』(仮題)を執筆中で、なんとか早い時期に出版したいと願っています。
  前著『堀田善衞とドストエフスキー 大審問官の現代性』(群像社、2021)では、堀田の自伝的長編小説『若き日の詩人たちの肖像』や『審判』などの作品を読み解くことで、「核の傘」政策に依存しつつ戦前の価値観への復帰を目指している日本の政治の危険性を指摘しました。
  その後、プーチン大統領によるウクライナ侵攻が勃発し、プーチンに「君と僕は、同じ未来を見ている」と呼びかけていた安倍元首相が殺害されたことで、前著でも言及していた『黙示録』的な世界観の危険性が明確になりました。
 本書では『黙示録』的な世界観を克服しようとした堀田善衞や高橋和巳の作品を通しての『悪霊』を考察することにより、『黙示録』に引き寄せたドストエフスキー解釈の問題を考察します。 そのことによって、「自殺攻撃」を正当化した戦前の価値観への復帰を目指している自民党や維新と統一教会とのつながりの危険性を明らかにしたいと考えています。