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自民党

「立憲主義」の重要性が確認された2017年の総選挙

安倍政権の政治手法の危険性と「立憲主義」の重要性が確認された総選挙

「モリカケ」問題にたいして丁寧に答えると語っていた安倍首相が、北朝鮮情勢などを理由に突然の解散に踏み切った今回も異様な総選挙だった。

私自身は政治学が専門ではないが、日本の未来を左右することになる2017年の今回の選挙について、安倍政権下で行われた以前の選挙も簡単に振り返ることでその問題点と成果を確認しておきたい。

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安倍政権における政治家・官僚・財界の癒着の問題が国政を揺るがすようになってきた段階で、民進党の党首を選ぶための選挙が行われるという野党の乱れを突くかのように、安倍首相は何の説明責任も果たさないままに奇襲攻撃のような形で国会での冒頭で解散を宣言した。

このような首相の小手先の選挙戦術の裏をかくように小池百合子都知事が自ら代表となって「希望の党」を旗揚げすると、さらに驚かされる事態が起きた。

野党第一党の党首となったばかりの前原代表が「民進党」を解体して「希望の党」に合流すると発表したのである。 東京都銃剣道連盟の現会長でもある小池氏は、かつて「日本会議国会議員懇談会」の副会長を務めていたこともあるので、今度の選挙で日本の社会は戦前の価値観へと回帰してしまうのかと暗澹たる気持ちに襲われた。しかし、この奇策は当初は成功したかに見えたが、この党の実態が徐々に明らかになるにつれて、「希望の党」への追い風は止み、むしろ風当たりが強くなった。

銃剣道2(「ウィキペディア」より)。

このような日本の民主主義の危機に際して、人々の深く熱い思いを受けて枝野氏が一人で呼びかけ、「たった6人」で旗揚げしたのが、薩長藩閥政府の横暴や汚職に対抗するために設立された明治の伝統を受け継いだ立憲民主党であった。すなわち、自由民権運動の盛り上がりの中で立ち上げられた立憲改進党(1882~1896)や立憲自由党(1890~1898)などは、明治憲法の発布や国会の開設など「立憲主義」の重要性を深く理解していたのである。

そして、安倍自公政権の横暴などを批判する人々の期待を真正面から受け止めた「立憲民主党」は、前原・民進党代表がそれまで協議してきたプランをひっくり返したにもかかわらず、野党共闘に前向きに取り組んだ共産党や社民党の協力もあり野党の統一候補を出すことで、時代の風をつかみ上昇気流に乗って55名もの当選者をだすことができた。

立憲民主党

一方、2014年の12月に行われた総選挙について書いた記事では、〔総選挙と「争点」の隠蔽〕の問題を取り上げていたが、選挙中のテレビや新聞を使った大宣伝により議席を減らしながらも全体的には多くの議席数を確保したあとでは、今回も安倍首相は自分の考えが選挙民に受け入れられたと主張して、「改憲」の問題を早速、声高に主張し始めている。

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しかし、「立憲民主党」のあまりの勢いにおびえたように選挙の終盤には、今後の「改憲」の流れや政局にも大きくかかわるような事態が自公両党で起きた。

その一つは山口公明党代表が、「叩き潰せ、立民、共産。敵に渡すな、大事な議席」と仏教徒とは思えないような「鉄人28号」の替え歌を歌ったことである。しかも、三木鶏郎氏の歌詞では「あるときは 正義の味方/あるときは 悪魔のてさき」とも記されており、「正義の味方」だった者が「悪魔の手先」に「変節」する危険性もこの歌は示唆している。このような替え歌は仲間内では受けるだろうが、強い批判を浴びた小池都知事の「排除します」という言葉と同じように山口代表の視野の狭さを暴露してしまっている。

一方、批判を怖れてなるべく少ない聴衆を相手に語っていた安倍首相が、前回の「リベンジ」を謳って選挙戦の最終日に秋葉原で演説会を行ったことで自民党はそれを上回るような失態を犯した。

ものものしい警護の中で行われた秋葉原に集まったのは、「おとなの塚本幼稚園」や「おとなの森友学園」というハッシュタグが立つような聴衆の応援と乱立する「日の丸」であり、文字ではなく写真や映像で示されたこの事実は、「百聞は一見にしかず」のことわざのように、徐々に国民に深く認識されるようになるだろう。

あきはばら(出典blogimg.goo.ne.jp)

総選挙、秋葉原 つまり、翌日の産経新聞でさえこの写真を用いることをためらったように、「日本会議国会議員懇談会」の特別顧問を安倍首相と麻生副首相が務める安倍政権が、これまでの自由民主党とはまったく異なる極右的な政権であることを、多くの写真や映像は全国民の前に明らかにしてしまったのである。

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私自身の専門は比較文学なので、インパクトのある主張は難しいが、専制政治を国是としていた帝政ロシアで書かれたドストエフスキーやトルストイの作品と比較しながら日本の近代文学を考察することにより、日本では軽視されてきた「立憲主義」の重要性を明らかにしていきたい。

それとともに『我が闘争』の解釈などをとおして、ヒトラー的な見方を日本に広めてきた評論家・小林秀雄のキリスト教観の危険性を分析することで、「復古神道」の流れを汲む「日本会議」の問題点にも迫り、学問としての文学の意義をも明らかにすることができるだろう。

(2017年10月25日、改訂)

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なお、今回の総選挙が終わったので、これまでトップ・ページに掲載していた「総選挙に向けて――東アジアの人々の生命を守り、世界を放射能汚染から防ぐために」の欄を、「総選挙に向けて(2017年)」と改題して「文明論(地球環境・戦争・憲法)」に移動した。

総選挙に向けて(2017年)

 

高市総務相の「電波停止」発言と内務省の負の伝統

昨日は安倍首相が国会答弁で「改憲」を繰り返した問題を取り上げましたが、「東京新聞」は今日(2月10日)の朝刊で、Q&Aの形で高市総務相が高市早苗総務相が八日に続き九日も衆院予算委員会で、テレビ局などが放送法の違反を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じる可能性に言及した」ことを報道していました。

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A 心配なのは報道を萎縮させる動きだ。自民党は昨年四月、報道番組でやらせが指摘されたNHKと、コメンテーターが官邸批判したテレビ朝日のそれぞれの幹部から事情を聴取した。昨年十一月には、放送倫理・番組向上機構(BPO)が自民党によるNHK幹部の聴取を「圧力」と批判した。その後、看板キャスターらの降板決定が相次ぎ、報道のあり方を危ぶむ声もある。

Q やっぱり心配だね。

A 民主党の細野豪志政調会長は九日の記者会見で「放送法四条を振りかざして、メディアの萎縮をもたらすと非常に危惧する」と述べた。報道圧力と受け取られる政権側の発言は国会で議論になりそうだ。

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この高市発言を読んで思い出したのは、昨年の夏に問題となった作家の百田尚樹氏の発言のことでした。

すなわち、安倍首相との共著『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』があり、さらには元NHK経営委員を務めた作家の百田直樹氏が、自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などと自分が発言したことに関して、昨年、8月8日に東京都内で記者会見を行って「一民間人がどこで何を言おうと言論弾圧でも何でもない」と述べていたのです。

この発言に関して当初は百田氏を擁護していた安倍首相が3日の「衆院特別委員会」で「心からおわび」との発言をしたのに続き、菅官房長官も翁長知事との4日夜の会談で、沖縄をめぐる発言について「ご迷惑を掛けて申し訳ない」と陳謝していました。

リンク→元NHK経営委員・百田尚樹氏の新聞観

しかし、安倍政権は陳謝する一方で陳謝させられたことに対する仕返しのように今度は閣僚が、上から目線で「放送や報道の萎縮につながる」発言を公然と始めたように思われます。

安倍政権の強圧的な姿勢については、〈安倍政権による「言論弾圧」の予兆〉(2014年12月13日)でも論じましたが、かつての内務省の流れを強く受け継いでいる総務省の大臣である今回の高市発言からは、ドイツ帝国にならって「内務省」の権限を強化し、「新聞紙条例」などで言論を厳しく弾圧した明治時代の「薩長藩閥政府」との類似性と危険性を強く感じます。

リンク→新聞記者・正岡子規関連の記事一覧

安倍政権の「民意無視」の暴挙と「民主主義の新たな胎動」

今回の国会審議で多数を占めた与党からは「法的安定性は関係ない」と発言した礒崎陽輔首相補佐官や、シールズを批判して利己的個人主義がここまでまん延したのは戦後教育のせいだろうが、非常に残念だ」と記した自民党の武藤貴也衆院議員の常識外れの発言が目立った程度で、最期まで灰色の二つの大きな物言わぬ集団という印象しか受けませんでした。

一方、質問などに立った野党議員は一人一人が個人として屹立し凜々しく見えました。日本の将来を真剣に憂慮して考え抜いた野党議員たちの渾身の発言は、今後も憲政史上長く語り継がれるものと思われます。それは単に私個人の印象にとどまるものではなく、多くの人が共有する思いでしょう。

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9月15日のブログで私は「権力」を乱用する安倍晋三氏と江戸時代の藩主を比較して次のように書きました。

「江戸時代には民衆のことを考えない政治をする暴君に対しては、厳しい処罰を覚悟してでもそれを諫める家老がいましたが、現在の自民党には『独裁的な傾向』を強めている安倍首相を諫める勇気ある議員がほとんどいないということです。与党の公明党にも、安倍首相の『国会』を冒涜した発言に苦言を呈する議員がほとんどいないということも明らかになりました」。

しかし、国民からは巨額の税金を取る一方で、国民には秘密裏にTPP交渉を進め、アメリカが始めた「大義なき戦争」に、かつての「傭兵」のように自衛隊を「憲法」に違反してまでも差し出そうとしている安倍晋三氏を藩主に喩えるのは褒めすぎでしょう。

安倍晋三氏にはこのような評価は不本意でしょうが彼が行おうとしていることは、ドイツの作家シラーなどが戯曲『ウィリアム・テル』(ヴィルヘルム・テル)で描いたオーストリアから派遣された14世紀の悪代官ヘルマン・ゲスラーがスイス人に対して行った暴政に似ているのです。

東京新聞:これからどうなる安保法 (1)米要望通り法制化:政治(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092202000210.html …

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15日のブログでは「『暴君』を代えるまでにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、昨日のデモからは今回の運動が確実に政治を変えていくだろうという思いを強くしました」と続けていました。

なぜならば、その思いは単なる願望ではなく日本では明治時代に自由民権運動の高まりをとおして薩長藩閥政府を追い詰めて、明治14年(1881)には1889年には国会を開設するという約束を獲得したという歴史を持っているからです。

注目したいのは、その2年後の明治16年(1883)に、『坂の上の雲』の主人公の一人で新聞記者となる若き正岡子規が中学校の生徒の時に、「国会」と音の同じ「黒塊」をかけて、立憲制の急務を説いた「天将(まさ)ニ黒塊ヲ現ハサントス」という演説を行っていたことです。

俳人となった正岡子規は分かりやすい日本語で一人一人が自分の思いを語れるように俳句の改革を行いました。

「民主主義ってなんだ」と問いかけるSEALDs(Students Emergency Action for Liberty and Democracy–s、自由と民主主義のための学生緊急行動)がツイッターの冒頭に掲げている「作られた言葉ではなく、刷り込まれた意味でもなく、他人の声ではない私の意思を、私の言葉で、私の声で主張することにこそ、意味があると思っています」という文章からも、「憲法」と「国会」の獲得に燃えていた明治の若者たちと同じような若々しい思いと高い志が感じられるのです。

最期に、参院特別委員会での強行採決が「無効」であると強く訴えた福山哲郎議員の参議院本会議での反対討論のまとめの部分を引用しておきます。

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残念ながらこの闘い、今は負けるかもしれない。しかし、私は試合に負けても勝負には勝ったと思います。私の政治経験の中で、国会の中と外でこんなに繋がったことはない。ずっと声を上げ続けてきたシールズや、若いお母さん、その他のみなさん。3.11でいきなり人生の不条理と向き合ってきた世代がシールズだ。彼らの感性に可能性を感じています。

どうか国民の皆さん、あきらめないで欲しい。闘いはここから再度スタートします。立憲主義と平和主義と民主主義を取り戻す戦いはここからスタートします。選挙の多数はなど一過性のものです。

お怒りの気持ちを持ち続けて頂いて、どうか戦いをもう一度始めてください。私たちもみなさんお気持ちを受け止め戦います! 国民のみなさん、諦めないでください。

私たちも安倍政権をなんとしても打倒していくために頑張ることをお誓い申し上げて、私の反対討論とさせて頂きます。

(2015年9月23日。「東京新聞」の記事へのリンク先を追加)

「あかりちゃん」Part2と中東研究者の「安保法案」反対声明

「文明史」的な理解を欠いた形でこの法案を解説した自民党・広報の「教えて!ヒゲの隊長」の説明を分かりやすく論破した、YouTubeの【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみたの視聴回数が、オリジナル版の2倍近い986、078回となりもうすぐ100万回に達しようとしています。

7月28日には自民党のムービー教えて!ヒゲの隊長 Part2」が公開されましたが、その10日後の8月8日に「あかりちゃん」のPart2も公開され、このムービーもすでにオリジナル版の視聴回数を超えています。

  リンク→【あかりちゃん#2】HIGE MAX あかりのデス・ロード

ヒゲの隊長をロボットにしているのは、少しやりすぎかとも思いましたが、自民党のオリジナル版自体が「一家に一台必要」と言われた佐藤氏が「それじゃあ、ヒゲロボだな」いう台詞でヒゲの隊長の説明の必要を強調していたのです。

ことに自衛隊が「駆けつけ警護」することの危険性をNGOで活動している方の言葉で説明している箇所は説得力を持っていますが、『日刊ゲンダイ』(8月11日デジタル版)も、中東研究者105人が安保法案に反対との声明を発表したことを報道しています。

「現代イスラム研究センター」理事長の宮田律氏は「安保法案を通してしまうと、中東の過激派組織まで刺激する可能性がある。中東社会は日本の平和主義を信頼しています。それをかなぐり捨て、米国に追随すれば、いずれ日本も泥沼の対テロ戦争にハマっていくことになるのではないか」と語っていたのです。

宮田律氏の言葉を紹介したこの記事は、次のように結んでいます。

呼びかけ人には、駐イラク大使や駐リビア大使などを経験した元外交官も名を連ねた。安倍政権の『中東政策』に警鐘が乱打されている。」

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自衛隊のサマワ派遣に際しては「隊員が銃を撃つ判断を迫られるなどの事態が起きていた」ことを明らかにする記事が「朝日新聞」デジタル版に載りましたので。リンク先を記しておきます。 (2015年8月20日)

銃声、群衆が陸自包囲 撃てば戦闘…サマワ駐留隊員恐怖:朝日 …

www.asahi.com/articles/ASH8C4VLCH8CUTFK00F.html

【あかりちゃん】のリンク先を掲示

いよいよ審議は参議院に移りました。

YouTubeの【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみたは、「文明史」的な理解を欠いた形でこの法案を解説した自民党・広報の「教えて!ヒゲの隊長」の説明を分かりやすく論破しています。

これまでも二回ほど【あかりちゃん】については紹介しましたが、先ほど確認したところ視聴回数が635、000回を超えていました。より多くの方に知って頂くためにこのブログでも独立させて、題名を示すことにしました。

自民党版の「教えて!ヒゲの隊長」と比較すると「安全保障関連法案」と名付けられたこの法案の危険性が明瞭になるでしょう。

「大義」を放棄した安倍内閣

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衆院本会議でも与党が単独で「強行採決」し、賛成多数で可決されたとの報が届きました。

「国民の声」を封殺してでも祖父の代からの「野望」を遂げようとする安倍首相の独裁的な手法に対して、良識ある与党の議員も「No」の声を上げることを期待していましたが、与党の衆議院議員からはそのような声は発せられませんでした

リンク「安全保障関連法案」の危険性(2)――岸・安倍政権の「核政策」

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ノモンハン事件をめぐって対談した研究者のクックス氏から、戦前の日本では国家があれだけの無茶をやっているのに国民は「羊飼いの後に黙々と従う」羊だったと指摘された司馬遼太郎氏は、「日本は、いま世界でいちばん住みにくい国になっています。…中略…『ノモンハン』が続いているのでしょう」と応じていました(「ノモンハンの尻尾」『東と西』朝日文庫)。

敗戦から70年経った現在、自民党と公明党の議員は再び「沈黙を強いられた羊」と化してしまったかのように感じます。

兵器や原発を外国に売り込むことで目先の利益を挙げようとする日本の一部の大企業と、アフガニスタンや中東地域に派遣する兵士の足りなくなったアメリカ軍の要請に応じて行われた今回の「強行採決」は、憲政史上の一大汚点として記憶されるでしょう。

「憲法」を無視した形で可決された違法な「安保法案」は廃案に追い込みましょう。

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冒頭のチラシは知人のH氏のメールに添付されていた作家の澤地久枝さんからの「~~日本中に拡散をお願いします!~~」というご依頼とともに届いたものです

7月18日(土)午後1時きっかり

同じポスターを全国一斉にかかげよう

 との文面も添えられていましたが、委員会に続いて衆院の本会議でも「安全保障関連法案」が「強行採決」されましたので、本日掲げることにしました。

 追記:自民党では以前から「法案は違憲だ」として反対を表明していた村上誠一郎議員と元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝議員が本会議を欠席していたことが判明しました。他の与党の議員も勇気ある行動に踏み切ることを願っています。

 

「安全保障関連法案」の危険性(4)――対談『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』

7月7日に書いた〈「安全保障関連法案」の危険性と小説『永遠の0(ゼロ)』の構造〉という記事では、6月25日に開催された「文化芸術懇話会」に講師として招かれた作家の百田直樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などと発言したばかりでなく、現在の多くの住民は「周りは田んぼだらけだった」ところに、「飛行場の周りに行けば商売になるので住みだした」とも発言していたことが明らかになり、それまで謝罪を拒んでいた安倍首相が3日の「衆院特別委員会」で「心からおわび」との発言をしたことにふれて、こう記していました。

「心からおわび」という言葉が真心を込めて語られたのならば、このような「言論弾圧」的な発言も飛び出した「平和安全法制整備法案」の審議は、次の議会に延期するのが「情理」にかなった行動でしょう。

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しかし、安倍首相は10日の衆院平和安全法制特別委員会でも、「審議は深まった。決めるべき時には決めていただきたい」と答弁、15日の委員会での戦争法案強行採決をにおわせたのです。

このことを伝えた7月13日付けの『日刊ゲンダイ』は、2面で「採決を急ぐ理由は明らかで、審議をやればやるほど、議論が深まるどころか、ボロが出るのだ」と書き、そのような事例の一つとして民主党の辻元清美衆院議員との質疑応答を挙げています。

すなわち、これまで安倍首相は自衛隊が戦争に巻き込まれない根拠として「戦闘が起きれば、ただちに部隊の責任者の判断で一時中止、あるいは退避する」と繰り返していたのですが、辻元議員は『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(ワック株式会社、2013年)では、対談者の百田尚樹氏から「(そんなことは)国際社会では通用しませんね」と問われると、「(そんなことは)通用しません。そんな国とは活動したくないと思われて当然です」と語っていたことを質問で明らかにしたのです。

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『日刊ゲンダイ』はこの記事を「戦争法案のインチキ、ペテンは今や、誰の目にも明らかだ」と結んでいますが、このような安倍首相の言動からは、暴言で問題となる作家の百田氏は、首相の広報的な働きをしていたにすぎないように見えてきます。

2013年12月6日には世論の反撥がさらに高まるのを懸念した政府与党が、参院で審議が始まってわずか8日で「特定秘密保護法案」を参院特別委員会で強行採決していました。

今度もまた「国民」の反対が多い「安全保障関連法案」の危険性が議論をする中で明白になることを怖れた安倍首相が独裁的な権力をふるって、衆議院で多数を占める与党の自民・公明両党に強行採決させようとしているという構図が浮かび上がってくるのです。

 

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